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手島直樹「マーケット・インテリジェンスを磨く」

「当期純利益」至上主義が企業を滅ぼす?「目先の利益」追及が危機的経営を招くおそれも

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(4)税引前当期純利益

 経常利益に特別利益(固定資産売却益など)を加え、特別損失(減損損失など)を差し引いた利益です。特別利益も特別損失も一過性のものであり、この段階までくると、本業の利益創出力の指標としてはあまり機能しなくなります。

(5)当期純利益

 税引前当期純利益から法人税等を差し引いて、ついに当期純利益が算出されます。債権者に対する金利及び政府に対する税金を差し引いた利益ですので、いわば「株主に残された利益」だと考えられます。だからこそ投資家は当期純利益やROEを重視するのです。

当期純利益の2つの問題点

 当期純利益の特徴を確認したところで、次に問題点に目を向けてみましょう。「ノイズ」、そして「経営の短期主義」という2つの問題があります。

 まずはノイズから紹介しますが、この点に関しては著名な米投資家ウォーレン・バフェットが当期純利益をどのように考えているのかを参考にしましょう。2010年の『バフェットからの手紙』では次のように述べています。

「当期純利益は多くの企業で重要とされているが、バークシャー・ハザウェイ【編注:バフェットが経営する会社】では意味が無い。事業の状況にかかわらず、合法的に当期純利益を望み通りの数値にすることができるからである」

「合法的に」とあるように、不正会計をして当期純利益を良く見せるという話ではありません。ではどういうことかというと、同社が保有する株式の市場価値が投資以来上昇しているため、多額の含み益となっているのです。つまり、売却すれば含み益が実現利益となり、当期純利益に反映されることになります。ですから、目標とする当期純利益やEPSの金額があれば、逆算して株式を売却すればよいのです。

 もちろん、バフェットは当期純利益を良く見せるために株式を売却するような真似はしませんし、前述の通り株主に対しても同社の当期純利益は無視するように述べています。このように、バフェットも当期純利益には特別利益や特別損失といった一過性のノイズが含まれるため、企業の利益創出力の指標としては不適切であると認めているのです。

 たとえば、最近の日本のケースでは、持ち合い株式を売却することが増えていますが、株式売却によって利益をあげたとしても、証券会社でなければ株式売却益は一過性な要因にすぎず、本業の業績と無関係に当期純利益が変動するだけです。よって、企業が当期純利益を意識しすぎれば、特別利益を利益調整に利用しかねず、投資家は当期純利益だけを見ていると、企業に関して誤った判断をしかねないのです。

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