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手島直樹「マーケット・インテリジェンスを磨く」

「当期純利益」至上主義が企業を滅ぼす?「目先の利益」追及が危機的経営を招くおそれも

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 では、バフェットはどの利益指標を重視すべきだと考えているのでしょうか。次のように述べています。

「欠点はあるものの、営業利益こそ当社の事業の状況を示す妥当な指標である。」

 このように、バフェットも営業利益が企業の利益創出力の指標として最適であることを認めているのです。企業価値は、本業が生み出すキャッシュフローで決定されるのですから、企業は営業利益の拡大を目指し、投資家はその変化を予測することに注力すべきなのです。

 次に、もうひとつの問題である経営の短期主義に関してですが、これは当期純利益だけでなく、バフェットが推奨する営業利益にも関連する問題であり、いわば損益計算書の利益指標を意識する限り避けて通れない問題だといえます。

 利益を拡大するには、営業利益率を維持、もしくは改善しながら、売上高を増やすのが正攻法ですが、投資という足元の利益を減らす要因を削減するというアプローチも存在します。これぞ筆者が「引き算の罠」と呼ぶ問題です。

 もちろん、会社が危機的な状況にあれば投資の削減も避けられませんが、健全な会社が単に利益目標を達成するがためだけに投資を削減するケースが、アメリカだけでなく日本でも見られるようになっています。これでは現在は健全であっても、長期的には不健全な経営状況に陥る可能性もあるのです。投資を削減して当期純利益を高め、そしてROEを改善したとしても、これは単に「悪いROE」にすぎないのです。長期的に見れば、企業は競争優位性を失い、ROEは下落することになるでしょう。

当期純利益の問題をどのように解決すればよいのか

 では次に、2つの問題点の解決策について考えてみましょう。

 まずはノイズの問題ですが、これは簡単です。当期純利益に反映されている一過性の要因を取り除けばよいのです。

 これには2つのアプローチがあります。最初のアプローチは、経常利益もしくは営業利益に(1-実効税率)を掛けて、ノイズのない当期純利益として代用するものです。実際、資産効率性指標であるROIC(投下資本利益率)の計算には、営業利益に(1-実効税率)を掛けたみなし営業利益が分子に利用されています。つまり、ROICでは特別損益はノイズとして完全に無視されているのです。本業の利益創出力に無関係ですから当然といえます。

 もうひとつのアプローチは、キャッシュフローを重視するものです。企業価値が、企業が生み出すと期待されるキャッシュフローの現在価値であることを考えれば当たり前のことです。

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