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勤務終了直後に「あと12時間働け」…警備業界、過労死続出の心身破壊される過酷な労働実態

構成=西山大樹/清談社
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警備業界の人員不足を引き起こす3つの理由

–求人情報誌を見ると、大手から中小の警備会社まで、常に警備員の募集が絶えません。なぜ警備員の数が足りていないのでしょうか。

橋本 いくつかの原因が考えられます。例えば「健康被害」。警備員の仕事は巡回や交通誘導などをよく見かけることから、「簡単で楽な仕事」というイメージを持つ人も少なくないかもしれません。

 しかし、たとえ重労働でなくとも、長時間の勤務は体力をかなり消耗します。また、傍目から見て楽そうでも、実際はきつい仕事もあります。たとえば「立哨」。警備のために立っていることですが、けっこう大変な仕事です。そのため、腰や膝を痛める人も少なくありません。

 また、警備員は休憩時間でもゆっくり休むことができるとは限りません。仕事をする現場に休憩施設がないケースもあるのです。そのため、食事は菓子パンやカップ麺で手短に済ませることも多く、日勤と夜勤を立て続けに入る人もいるので、過労から心身の不調を訴える人も出てきます。

 現場で体調不良を覚えたために病院に行ったところ、医師に「なんでこんなになるまで放っておいたんだ!」と怒られ、即日入院した警備員の話なども、いくつも聞いたことがあります。

–大阪の事件でも、当該警備会社では、過去に心臓疾患で亡くなった警備員の遺族が労災申請をしています。ほかの理由は、どういったものでしょうか。

橋本 「実務訓練の難しさ」も挙げられるでしょう。一口に警備業といっても、業務の種別や現場によって内容はさまざまで、求められるスキルは多岐にわたります。

 そのためマニュアルの作成が難しく、警備会社の担当者も多忙なので教育に時間が割けないため、通り一遍の説明だけで「あとは現場で身につけてくれ」ということになりがちです。もちろん、基本的な作業動作だけで勤務できる現場もありますが、そうでない職場も多い。そのため、簡単な仕事だと思っていた警備が意外に難しい、とても勤まらない、とすぐに辞めてしまうケースも多いようです。

 そうしたことから、登録したばかりの新人が現場に行っても仕事をうまくこなせないことがあっても不思議ではありません。さらに、現場では「使えねぇな!」と罵声を浴びせられることもあるため、精神的に疲れてその日限りで退職ということも多い。警備業界では、こういった状況が日常茶飯事だと思います。

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