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筈井利人「一刀両断エコノミクス」

マイナス金利の次は現金廃止?個人預金が実質マイナス金利になる可能性も?

文=筈井利人/経済ジャーナリスト
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 日銀からみれば愉快でないだろう。せっかくマイナス金利という大胆な手を打ったにもかかわらず、お金が消費にも投資にも向かわず、個人の自宅で眠るだけになるのだから。マイナス金利の効果が削がれたことになる。だが現金が存在し、個人にタンス預金が可能な限り、それを止めることはできない。

 日銀に限らず、金融緩和でデフレ脱却に躍起な各国政府・中央銀行にとっても、現金は政策の障害になりうる。

 また、タンス預金の増加には別の問題もある。預金を払い戻して現金に換える動きが加速すると、銀行は現金の手当てが間に合わず、最悪の場合、資金繰りに窮する恐れもある。

現金廃止

 そこでマイナス金利の「次の一手」として浮上するのが、現金廃止の可能性である。

 現金廃止というと現実離れした話のように聞こえるかもしれないが、著名な経済学者の間ではすでに大まじめに議論されている。米国の経済学者でハーバード大学教授のケネス・ロゴフは、中央銀行の金融政策を実行しやすくし、脱税・犯罪の抑止にも役立つとして、現金廃止を主張している。同じくハーバード大学教授のグレゴリー・マンキューは、中央銀行が定期的に抽選を行い、通し番号の末尾に0から9のどれかが記されたお札を無効にするという提案をしている。

 現金の廃止は、技術的には難しいことではない。北欧では現金を使わないキャッシュレス取引が日常生活でも急速に広がっている。スウェーデンのストックホルムでは、街中で雑誌を販売しているホームレスでさえ、モバイルカードリーダーを使った電子決済で代金を受け取る。

 確かに現金はかさばるし、経理処理も面倒である。だから個人や商店が自分の考えでキャッシュレスを選ぶのは自由に任せるべきだ。しかし政府が現金を廃止し、使用禁止を強制するとなると、話は別である。

現金廃止の問題点

 現金廃止は普通の個人にとって、大きく2つの問題点がある。

 第一に、タンス預金の自由が奪われる。タンス預金は政府・中央銀行からみれば犯罪の温床や金融政策の障害でしかないかもしれないが、個人にとっては資産を守る貴重な手段のひとつである。銀行預金がマイナス金利で目減りしたり、金融システム不安で銀行破綻の恐れがあったりする場合には、現金を手元に置くのは合理的な資産保全の手段となりうる。現金廃止はその手段を奪ってしまう。

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23:30更新
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