
月、大雪となった日、筆者は朝8時の新幹線に乗っての出張を予定していた。自宅から駅まで1キロメートル少し。丘の上なので、歩いて下りていくにはスーツも靴もびしょ濡れになってしまう。前夜、妻から大雪が降りそうという情報を聞き、予約をしようとタクシー会社に電話したが、なかなかつながらない。やっとつながっても、「明日は雪なので、時間指定はできません」「明日は混んでいまして」と取りつく島もない。限りある台数のなかでやりくりをされているので、当然といえば当然だが、若干残念な気分になった。
昨年、アメリカ出張の時に初めてスマートフォン(スマホ)用アプリであるタクシー配車サービス「Uber(ウーバー)」を使ってみた。使い方は簡単で、現在地がGPSで出てきて、目的地を入力しOKを押すと、
・今いるところにタクシーが何分くらいで到着するのか
・目的地まで何分で、いくらで行けるのか
そしてさらに、
・どんな顔や名前の運転手がくるのか
・どの車種でくるのか
という情報がすぐに明示される。あとはその場所で待つだけ。配車されたタクシーがマップ上で今どの辺りを走っているのかまでわかるので、待たされる「イライラ感」もない。
Uberを運営しているのはタクシー会社ではないので「大丈夫かな」と感じるかもしれないが、どんな運転手が来るのかもわかるし、ユーザー登録制なので自分がこの時間にどのタクシーに乗ったのかという記録もシステム上に残り、夜遅い時間に乗っても安心できるのも特徴である。
筆者は今回の出張で計10回近く利用したが、通常のタクシーよりかなり安い。チップは別途だが、チップ分を入れたとしてもお得感がある。
Uberは、相乗りサービスを選ぶこともできる。自分がホテルから市街地に行くとして、途中で誰かが同乗してもいいですよ、という相乗りの選択肢を選ぶこともできるのだ。自動車のカーシェアやリゾートマンションのタイムシェアリングと同じ「考え方」である。これらを総じてシェアリング・エコノミーというが、さらにUberの場合は、ITを駆使して「プラットフォーム化」している。
Uberは日本でははやるのか?
現在、Uberに似たアプリを使ったタクシー配車サービスは存在するが、日本でも普及していくのだろうか。タクシー協会や行政認可の壁などの問題で困難だとの指摘も多いが、実際に筆者が米国で使ってみた感覚からすると、現在のタクシーサービスよりもはるかに使いやすいことも事実である。
実はタクシーサービスをマーケティングするのは難しい。なぜなら、従来の客の拾い方では、タクシー側も客側もお互いを選べないからである。