
社長は社員よりも長生きするってホント?
一説によると、社長、会長といった経営者は、社員よりも平均寿命が長いそうです。それもサラリーマン社長よりオーナー社長のほうが、ずっと長生きするというのです。
これは、なんとなく不思議だと思いませんか? どう考えても、責任の重い社長のほうがストレスは大きいはずです。それもサラリーマン社長よりはオーナー社長のほうがずっと責任も重く、多くのプレッシャーを負っているはずです。
おおげさに言えばオーナー企業の社長というのは、社員全員の人生を背負っているともいえます。社員の雇用を守り、毎月の資金繰りに苦労し、常に競争の中に身を置きながら、命を削るように仕事をしているのが社長という存在なのです。
であるにもかかわらず、なぜ社長のほうが社員よりも長生きするのでしょうか?
そしてこれは民間企業に限らず、公務員でも同じ現象があるそうです。あまり地位の高くない公務員の心臓病等による死亡率は、上級公務員の3倍も高いというのです。さらにいえば、階層が上に上がっていくほど平均寿命が延びるという実に不思議な現象が起きているというから、ますますわからなくなります。
理由は、選択の自由にあった
この不思議な現象は、なぜ起きるのか?
少し前に日本でも発売され話題になった書籍『選択の科学(原題:The Art of Choosing)』(シーナ・アイエンガー著/文藝春秋刊)に、その理由が書いてあります。
「ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのマイケル・マーモット教授が、数十年にわたって指揮している研究プロジェクト、ホワイトホール研究は、選択の自由度に対する認識が健康に大きな影響を及ぼすことを、強力に実証する」(同書より)
つまり、自分で物事を判断できる割合が高いほど、健康に良い影響を与えるということです。経営者は収入が高く責任も重いのですが、なんといっても自分自身や部下の仕事に采配を振るう、すなわち経営判断を求められるということは、選択の連続でもあるわけです。経営者にとって会社の利益に対する責任を負うことは大きなストレスになるのは間違いないのですが、それ以上に自分で考えて判断することができる、つまり選択の自由が与えられている快感のほうが、はるかに大きいということなのです。