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鈴木貴博「経済を読む目玉」

ヤフーショッピングのポイント還元率がハンパない理由…楽天をはるかに凌駕

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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ユーザーをスイッチさせる

 このようなポイント戦争が起きる背景として2つ、興味深い経済ニュースを紹介しよう。ひとつは楽天の事業の柱が2本に増えたという報道だ。

 これは昨年秋のニュースだが、楽天の7~9月期決算でネット通販事業の営業利益が250億円だったのに対して、楽天の金融事業の営業利益が151億円にまで増えてきたというのだ。この増加の原動力となったのは、楽天カードからの利益である。

 そもそも楽天グループのビジネスモデルの根幹にあるのはポイント経済圏。楽天のサービスを利用するとポイントがたまる。そのポイントを利用するために別のサービスを利用してさらにポイントがたまるということが、経済の循環を生んでいる。

 そして楽天カードで決済すればさらにポイントが貯まるので、楽天カードが使われる。カードで決済すると小売店は3~5%程度の手数料を支払わなくてはならないのだが、楽天カードの場合は楽天がその手数料を受け取る立場になるわけだ。

 このポイント経済圏のビジネスモデルは専門用語で「ネットワーク外部性が働く」といって、参加する消費者が多いほど競争相手にとって打ち負かしにくくなるという強みがある。通常では楽天ほどの企業を打ち負かすのは不可能なのだが、ヤフーはそこに挑戦をしたわけだ。

 そもそも数年前にヤフーは、ヤフーショッピングで加盟店にかかる手数料を楽天と比べて大幅に下げるという施策を打って、加盟店の数を大幅に増やした。そのことで加盟店数では比肩し得るようになったのだが、ユーザー数や販売数では楽天はまだ強い。

 そこで楽天がついていけないぐらいポイント還元率を高めれば、ユーザーをスイッチさせることができる。それがヤフーのひとつめの着眼点だろう。

 実は加盟店手数料が低いヤフーショッピングと高い楽天市場に同じお店が出店して同じ商品を売っている場合、ヤフーショッピングで売っている商品の方が価格が安いというケースがたくさんある。ポイント還元率を高めてヤフーショッピングを多くの消費者に使わせてみれば、ヤフーショッピングの良さが伝わる。そこでヤフーは期間限定で大幅なポイント還元を仕掛けたのである。

Tポイント経済圏での影響力強化

 そこにもうひとつ別のニュースが加わる。コンビニエンスストアのファミリーマートとサークルKサンクスの合併だ。ヤフーはファミマのTポイント陣営、楽天はサークルKサンクスの陣営だが、この両者の力関係ではファミマのほうがサークルKよりも力が強い。ということは、合併によってこれまでサークルKサンクスで使われていた楽天ポイントが今後Tポイントにスイッチされる可能性が出てきたということである。

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