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絶望の介護業界…平均給与が全産業平均より10万低、重労働&職場ギスギスで若者不足深刻

文=福田憲次郎/福祉ジャーナリスト
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 新たな政策がどこまで実を結ぶかは不透明だが、結局は、求職者の最大母数である若年層にとって、夢を描ける業界に変身できるかどうか。どの業界でも同じだが、人材確保の成否はこれに尽きる。政府がどんな施策を打ったところで、業界が刷新されない限り、いっこうに展望は開けない。

最大の問題は組織運営

 その意味で、現下の介護業界で問題視すべきは、賃金よりも組織運営である。介護職の離職理由のうち、実は賃金は4番目の理由である。

「平成24年度社会福祉士・介護福祉士就労状況調査」(財団法人社会福祉振興・試験センター)によると、離職理由は多い順に「結婚、出産・育児」「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」「職場の人間関係に問題があった」「収入が少なかった」。以下「心身の不調(腰痛を除く)、高齢」「労働時間・休日・勤務体制があわなかった」「腰痛」とランクされた。前出の介護コンサルタントは次のように指摘する。

「崇高な理念を掲げていても経営者が収益至上主義に走って、理念とのギャップに嫌気が差して辞めてしまう職員が続いている。人間関係でよく問題になるのは、管理職が働かないで、部下にどんどん仕事を押しつけてしまう風潮があることだ」

 職場での人間関係については、次のような実態もある。

「利用者と家族に対して、あれだけ心優しく接している職員たちが、職員同士となるとギスギスした関係になってしまう。聞くに堪えないような言葉で陰口を言い合う光景を目にしたこともある。組織人としての教育が不十分なのか、どうも未熟な人が多いように思う」(介護老人保健施設・施設長)

 一方、社会保障費の伸びが抑制されていくなかで、介護業界全体の経営マインドも変革が迫られている。次回の介護報酬改定は18年4月だが、国の財源不足から厳しい改定内容になることは避けられない。現場からは「介護離職ゼロを目指すのだから介護報酬を引き上げるか、処遇改善の基金や交付金を政府に開設して手当てほしい」(同上・老健施設長)というような意見が数多く聞かれる。

 なぜ人件費の原資を公費に求めるのか。介護事業は市場原理の働かない“準市場”で営まれる制度ビジネスで、顧客の1番目は行政、利用者は2番目という側面がある。この準市場では、都道府県と市区町村が介護保険事業計画を3年ごとに策定する過程で、施設系・在宅系それぞれのサービス供給体制・供給量をマーケティングし、サービス内容と報酬単価は全国一律に設定される。

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