
ドリンク1杯で砂糖小さじ25杯を飲み干している――。そんな調査結果が大きな話題になっている。
イギリスの研究グループ「アクション・オン・シュガー」が、同国内のコーヒーチェーンやファストフード店のホットドリンク類の砂糖含有量を分析したところ、最も多かったのはスターバックス コーヒーの「グレープ・マルド・フルーツ」で、特大サイズ(590ミリリットル)の中に約100グラム(小さじ約25杯)の砂糖が入っていたという。
さらに、「ホワイト・チョコレート・モカ」(特大サイズ)が73.8グラム(同約18杯)、「バニララテ」や「キャラメルマキアート」(470ミリリットル)も31グラム(同約8杯)という結果だった。
世界保健機関(WHO)が公表している糖類摂取基準は、成人の場合で1日25グラム(同約6杯)だ。しかし、今回の調査では、98%に1杯で同基準の半分を超える13.5グラムの砂糖が含まれていたという。また、そのうち35%は50グラム(同十数杯分)にも達していたようだ。
これはあくまでイギリスでの調査であり、そのまま日本のコーヒーチェーンやファストフード店に当てはまるものではないだろう。しかし、缶コーヒーや清涼飲料水には意外に多くの砂糖が使用されており、無意識のうちに大量の砂糖を摂取している人も少なくない。
砂糖の過剰摂取には、どのような危険性があるのだろうか。以下、フードプロデューサーで一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事の南清貴氏が解説する。
砂糖の依存性が製糖会社の売り上げを伸ばす
砂糖の問題は、非常に根深いものがあります。それは、砂糖には依存性があるからです。アメリカのプリンストン大学で行われたラットを用いた実験では、砂糖を過剰摂取することによって、明らかに依存性が認められた上、砂糖の投与をやめて再び与えた際には、以前よりも摂取量が増加したそうです。
さらに、砂糖の供給を絶たれたラットはアルコールの摂取量が増え、脳機能に変化が起きていることもわかりました。空腹時に多量の砂糖を摂取するラットの脳内では、コカイン、モルヒネ、ニコチンなどの依存性薬物による変化と同様の神経化学的な変化が起こることもわかっています。
ラットの実験がそのまま人間に当てはまるわけではありませんが、まったく無視するというわけにもいかないでしょう。こういったことを鑑みると、仕事の合間や息抜きに砂糖たっぷりの缶コーヒーや、缶ジュース、スポーツドリンクなどを飲み干す習慣はやめるべき、というのは自明の理です。しかし、そう簡単にいかないのは、依存性があるからです。