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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

世界的に超異質…なぜ国内航空線でも大型機?羽田の制約、やっかいな整備・CA問題

文=稲垣秀夫/航空経営研究所主席研究員
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 路線需要に応じた航空機の大中小、使用路線の長中短にタイプを分け、航空機の仕様を多様化しそれぞれを小さなグループにするときめ細かい路線運営が可能になりそうだが、実際には路線運営の融通性を失うことになる。

 飛行機を計画整備する際、フリートのロット(同一機種の機材数)が小さいと代行機は別仕様となるし、また、日常運用のなかで故障に伴う代替機を用意する際も、同じ仕様の航空機の捻出が難しくなる。キャビンアテンダントの仕事も機種のバリエーションが増えると複雑になるし、便ごとの旅客数が大きく変動することで、発着空港の業務や施設稼働も大きく変動して効率が悪くなる。こういったさまざまな障害を避けるうちに、現在のような大型機は遠距離、小型機は短距離という、複雑さを排除した単純な仕分けを選択するようになったのではないかと考えられる。

燃料コストの上昇にどう対応するか

 近年、大型機=長距離、小型機=短距離という単純な仕分けをさらに後押しする、重要な理由が加わった。それは最近の航空会社の経営にもっとも大きな影響を与えている燃料コストである。ピークの13年には原油価格(WTI)が100ドルに到達し、航空会社の営業コストに占める燃料コストの割合が30~40%に至り、航空会社にとって最重要の経営課題になった。その結果、これまでになく低燃費の航空機が渇望される時代に入ったのだ。さて、各社はどうやって燃料コストをセーブするか。

飛行機の燃費のしくみ

 燃費改良の最近の流行は、小さな空気抵抗を生む翼(ウイングレット)の採用、燃費効率の良いエンジン(新型のエンジン)、機体の軽量化(カーボン製の機体)である。

 1番目の空気抵抗については、飛行機全体の形、翼型、胴体と翼のバランスといったものが現代の旅客機ではどの機体もサイズの違いこそあれ、似たようなシルエットになる。この面での燃費性能ではどの機体も大差はないだろう。また、2番目のエンジンの性能ついては開発時期とリンクしており、最新の技術を採用したデザインほど効率が良い。技術は日進月歩だ。3番目の飛行機の軽量化についてはおもしろいテーマを持つが、詳細は別の稿に譲り、ここでは飛行機のサイズと重量の関係からの航空機の燃費性能について説明する。

 まず、燃費を評価する指標「席当たりのコスト」を理解したい。航空会社の売り上げは座席から生まれるが、それを提供するのにどれだけのコストがかかっているのかという指標である。昔は「ATK(Available Ton Kilometers)当たりコスト」という重さをベースにする指標が使われたが、今では座席あたりコストまたは「ASK(Available Seat Kirometers)当たりコスト」のほうが現実に即している。

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