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江川紹子の「事件ウオッチ」第49回

再燃した【巨人・野球賭博】、問題は選手個人の「甘さ」「弱さ」だけじゃない!

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 昨年は、韓国のプロ野球でも賭博が問題となり、名門チーム・サムスンライオンズの投手で、日本の東京ヤクルトスワローズでも活躍した林昌勇が、マカオのカジノでバカラ賭博に興じたとしてチームから解雇され、賭博罪で罰金刑を受けた。同様に元阪神タイガースの呉昇桓投手(米メジャーリーグ、セントルイス・カージナルス)も賭博罪で罰金刑を科された。

 野球以外でも、たとえば多くの力士や親方が関わっていた大がかりな大相撲野球賭博事件があった。この時に日本相撲協会から解雇された元関脇・貴闘力(第16代大嶽親方)は、自身がギャンブルに浸かっていった体験を、昨年11月に行われたイベント『ギャンブル依存症対策推進フォーラム』で語っているが、その中でこんな発言があった。

「土俵に上がった時のドキドキ感と、ギャンブルで自分の給料以上のものをポンッと張った時の緊張感には、似たようなものがあるんですね。それで勝ったときの嬉しさとかがあるからやっぱりスポーツ選手は、はまると依存症になりやすいかもしれないですね」

依存症には適切な医療サポートを

 貴闘力によれば、相撲部屋でもギャンブルが日常化していた。ある時、5000円の馬券を買ったところ、それが40万円に化けたビギナーズラックからギャンブルにのめり込んでいき、相撲の稽古以外はギャンブル漬けの生活になった。借金は1億円に膨らんだ。義父の大鵬親方の力も借りて整理したものの、「一切ギャンブルしません」と約束した手前、隠れてこっそりとやるようになり、そのうち野球賭博に手を出した。その時の心境を、次のように語っている。

「自分では『やめとこ、悪いなあ』ということもわかってはいたんですけど、別にヤクザも入ってないわけだし、『身内同士でやってるんやし、わからんからええやろ』と」

 本人は悪いと頭ではわかっているのに、やめられない。それがギャンブル依存症の怖いところだ。仲間内だけでやっていればバレないだろうという、妙な楽観主義も加わって、ずるずると続けてしまう。

 このフォーラムでは、ギャンブル依存症に取り組む医師らが参加し、ギャンブル依存症は本人の心の弱さの問題ではなく脳の機能に異変が生じる「病気」であり、治療法もある程度確立していることが報告されている。ここでは、巨人の野球賭博問題も話題になった。

 解雇された選手は球団を通して、「軽はずみに始めてしまった。その後もどうしてもやめられなかった。自分の甘さを後悔している」というコメントを出し、それが報じられている。こうした問題では、とかく個人の選手の「甘さ」「弱さ」が問題にされる。ギャンブルにのめり込んだ側も、自身の「甘さ」「弱さ」のせいだと思い込み、自分が依存症であることを認めようとしない。

 しかしギャンブル依存症であった場合、いくら当人を責めても問題は解決しない。貴闘力も職を失い、離婚し、すべてを失ったうえに「マスコミに無茶苦茶叩かれ、ずっと逃げてました」と言うが、騒ぎが一段落し新たに開いた焼き肉店が軌道に乗ると、またギャンブルに手を出した。

 フォーラムの中で、筑波大学准教授(精神保健学)の森田展彰氏は、ギャンブルを「どうしてもやめられない」という人たちを、社会が排除し叩くのではなく、治療に結びつけ復帰する道を用意することの大切さを指摘した。

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