しかし、坂本氏は批判などどこ吹く風といった様子で、『不本意な敗戦 エルピーダの戦い』(日本経済新聞出版社)を出版。これによって被害者の怒りは増幅した。

 今回の新会社設立構想は、平たくいえば日本の半導体技術を中国に売り込むものだ。「国際的分業」とはいうが、中国が日本や台湾の技術者の頭脳を買うことになる。

坂本氏を持ち上げた日経

 1月4日、『プロフェッショナル』(NHK)の放送開始10周年特別番組として、「よくも悪くもいろいろあった10年。挑戦を続けるプロたちを描く」と題した特集が放送された。

 日経新聞も「日経ビジネス」(日経BP)も坂本氏には優しかった。12年2月2日、坂本氏は11年4~12月期決算発表を発表したが、その様子を日経新聞は「坂本社長は『資金繰りに問題ない』と語った」と書いている。一方、同じ会見に出た朝日新聞は「資金繰りは厳しい」と報道していた。

 その後、日経新聞の記者は2月27日の倒産会見で坂本氏に「決算発表では『資金繰りに問題ない』と言っていたではないか」と詰め寄った。これに対し坂本氏は「3月末までは大丈夫と我々は考えていたが、その先はリファイナンス(金融機関からの借り換え)が難しいとわかった。今が(会社更生法申請に)ベストタイミングだと判断した」と悪びれずに語った。

 その姿を見た記者たちは、「経営責任」の四文字が欠落しているようだったと表現する。かつて日経グループは坂本氏を「名経営者」「戦う経営者」などと評して持ち上げてきた。

 エルピーダは会社更生法の申請に関して、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)といった主要取引先の同意を取り付けていなかった。金融機関は寝耳に水だったようだ。

 しかも、エルピーダには公的資金が注入されていた。10年に会社更生法を申請した日本航空の場合も当時の西松遥社長は引責辞任したが、坂本氏はエルピーダに居座った。

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