それでも昨年の株主総会では、取締役8人の選任議案が難なく可決されている。議決権行使率は総数の77.5%で、田邊氏の再任に対する賛成率は88.65%だったが、岡部哉慧専務が97.44%、それ以外の6人は99%超という高水準だ。

 それでは今年はどうなのか。今年は2年に1度の役員報酬総額の枠取り年。今年の総会招集通知には役員報酬総額が記載されており、その額は8人分で10億9600万円。昨年から5億円ほど減っているとはいえ、15年11月期の純利益が2億2600万円であることからすれば相変わらず巨額だ。過去の実績からすると、田邊氏の取り分は9億円前後と推定することは可能だったし、実際、総会後に提出された有価証券報告書に記載された額は8億8200万円だった。

 しかも今年は闘う個人投資家・山口三尊氏が同社株を取得して参戦。役員報酬総額の枠を30億円から5億円に減額する議案や、昨年田邊氏が受け取った報酬の一部返還を求める議案など、合計4つの議案を提出していた。だが、フタを開けてみれば、会社側が提出した5つの議案はすべて可決され、山口氏が提出した4つの議案はすべて否決された。山は動かなかったのだ。

膨大な未集計分が発生

 もっとも、総会の10日後の3月7日に提出された、議決権の行使情況を記載した臨時報告書は、興味深い結果を示している。

 まず、議決権行使率は80%台に上昇し、田邊氏の取締役再任議案への賛成率は、前年からさらに下がって80.67%にとどまった。他の10人の取締役候補者も辛うじて90%台に届いたのは4人だけ。残る5人は84~85%程度で、前年の99%から大きく後退している。

 興味深いのは役員報酬の枠取り議案である4号議案である。枠自体は30億円のまま据え置き、社外取締役の取り分を5000万円以内に抑えるという4号議案が、67.09%の賛成票しかとれなかった。監査役の選任議案(5号議案)でも賛成率は74.13%にとどまっている。

 一方、山口氏が提案した4つの議案のうち、役員報酬総額を5億円以内に収めるという6号議案が獲得した賛成票は15.37%。有価証券報告書を総会前に出せるようにする定款変更議案(9号議案)にも14.34%が賛同しているが、田邊氏の次女・田邊世都子取締役解任議案(7号議案)は5.92%しか賛成票を得られず、田邊氏に前年に受け取った報酬の一部返還を求めた8号議案も4.51%しか賛同を得られていない。

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