気になるのは、未集計分の多さだ。一般に株主総会での議決権行使情況を記載した臨時報告書には、議案ごとに賛成、反対、棄権、無効の議決権個数、それに賛成率が記載される。それぞれの個数は、総会前までに書面で議決権行使をした株主の分を集計したものが記載され、総会当日、総会に出席した株主の分は集計対象外という扱いを受ける。

 というのも、総会は議決権総数の3分の1の出席で成立する。可決に必要な票数は議案によって異なるが、役員の選任は過半数、定款変更は3分の2以上。以上の要件が書面分だけでクリアされていると、総会に出席した株主の票はカウントを省略できるからだ。

 ただ、賛成率の計算上は、総会出席者が持つ議決権数はカウントして分母の権利行使数に加えるが、賛成か反対か棄権かについては集計をしない、つまり分子に加えず未集計分という扱いになる。

このため、賛成票を賛成率で割って算出した議決権行使数と、賛成、反対、棄権の合計数値は一致せず、その差額である未集計分は、一般的には総会出席者の議決権個数と概ね一致し、行使議決権総数の1%前後に収まることが多い。

 ところが、今年のユーシンについては、この差額が1号議案から3号議案までは1万7000個以上あり、4号、5号議案では差額が4万3000個を超え、6号~9号議案でも3万9000個前後。これは行使議決権総数の7%~18%弱に当たる。

 この膨大な未集計分がなぜ発生したのかについて、ユーシンに問い合わせたが、「証券代行の信託銀行が出してきた集計結果をそのまま公表したにすぎず、原因分析はしていないしできる立場にもない」(同社IR担当)という。

 可能性として考えられるのは、ある程度まとまった議決権数を持つ株主が、書面での議決権行使をせずに総会に出席したため、議決権行使数にはカウントされながら、賛成、反対、棄権の集計対象にはならなかったというケースだ。その“ある程度まとまった議決権数”が、4号、5号議案に反対し、6号~9号議案に賛成していたのに集計されずじまいだったと仮定すると、

4号議案の反対比率は13.3%から32.8%
5号議案の反対比率は6.2%から25.8%
6号議案の賛成比率は15.3%から33.2%
7号議案の賛成比率は5.92%から23.7%
8号議案の賛成比率は4.51%から22.3%
9号議案の賛成比率は14.34%から32.1%

 にそれぞれ上昇する。

 結果として山は動かなかったが、動く兆しが見えたかもしれない総会だったとは言えるのかもしれない。
(文=伊藤歩/金融ジャーナリスト)

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