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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

世界の工場・中国、なぜ技術者が育たない?判断要する開発やチームワークが無理、サボる

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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 昨年来、中国企業が世界の半導体メーカーを「爆買い」している。特に、紫光集団の買収攻勢は凄まじい(表1)。

 中国が、このような爆買いを行っている理由は何か。それは、中国が半導体製造を苦手としているからにほかならない。それゆえ、諸外国の半導体メーカーを技術者ごと買収しようという行動に出たわけだ。

 中国の半導体市場は2014年に980億ドルとなった。これは、世界半導体市場3,330億ドルの29.4%に相当する。電機製品などで「世界の工場」となり経済発展を遂げた中国が、大量の半導体を必要としているのである。

 ところが、14年に中国で製造された半導体は125億ドルしかない。この生産額は世界全体の3.8%にすぎない。そして中国の半導体の自給率は、たったの12.8%しかない。つまり、中国では半導体の自給がまったく追い着いていないのである。

 また、サイノキングのHPには、国別のDRAM供給と需要の推移が示されている。この図によれば、中国企業のDRAM供給量はゼロに近い。その一方、中国は世界のDRAMの約6割を消費しているのである。

 世界の工場となった中国が、なぜ半導体、特にDRAMで振るわないのか。その原因は、半導体技術者が育たず、定着しないことにある。

中国の半導体技術者事情

 半導体の開発と製造には数百人規模のプロセス技術者が必要となる。筆者は、中国人は100人規模の技術者のチームワークが必要な製造には向いていないのではないかと思っている。それは、07年に上海にあるファンドリーのSMICを訪れたときに確信した。同社は00年4月に設立されたが、その後、一度も黒字を計上できず低空飛行を続けていた。もし、国からの支援がなければ早々に倒産していただろう。

 PC、携帯電話、デジタル家電などでは世界の工場と呼ばれていた中国が、なぜ半導体製造ではパッとしないのか。この謎が、SMIC訪問で解けたのだ。

 SMICを訪問して、もっとも大きな違和感を持ったのは、マネージャーは台湾人、技術者のほとんどが日本人か台湾人で、中国人の技術者は極めて少数だったことだ。彼らに、「なぜ、中国人の技術者が少ないのか?」と聞いてみたところ、以下のような回答を得た。

「第一に、中国人は家族と少数の親友しか信頼しない。会社に対する忠誠心もなければ、グループに対する協調性もない。半導体の開発や製造には、最低でも100人規模のチームワークが必要となる。しかし、中国人は個人主義的であり、チームのなかで協力し合って仕事をすることができない」

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