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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

世界の工場・中国、なぜ技術者が育たない?判断要する開発やチームワークが無理、サボる

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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「第二に、中国人には、何か判断が必要となるような仕事を任せることができない。なぜならば、中国人は判断する際にもっとも安易な選択をするからだ。簡単にいえば、彼らは、“サボる”からだ。たとえば、製造ラインのある製造装置でレシピ開発をさせるとする。日本人の普通の技術者が10枚くらいのウエハを使って条件だしをするところを、中国人は1枚か2枚で終わりにしてしまう。そのレシピを使って量産ロットを処理すると、瞬く間に不良の山を築くことになる。はっきり言って、中国人はズサンなのだ。したがって、この製品ロットがこの製造装置に仕掛ったら、このレシピを実行せよというように、判断の余地がない単純な仕事しか中国人には任せられない」

「第三に、それでも根気強く技術開発のやり方を教えたとする。少しできるようになったかなと思うと、中国人はもっと給料のよさそうな会社を見つけてきて、さっさと辞めていってしまう。義理人情も何もあったもんじゃない」

 このような事情で、設立から7年もたっていたのに中国人の技術者はほとんど育たず、定着しなかったようである。

サイノキングの展望

 サイノキングのビジネスモデルはおもしろい。しかし、これを実現するには、日台(もちろん欧米人でも構わない)を中心とした技術者を1000人集める必要がある。それは果たして可能なのか。サークルクロスコーポレーション代表取締役の若林秀樹氏は2月22日、ニュースアプリ「NEWS PICKS」で以下のようにコメントしている。

「優秀なエンジニアを大事にするなら、わかるけど、エンジニアを使い捨てにしているのは、むしろ日本の企業、金融機関、役所。出世もできず金もなく優秀な方が燻っている。シャープに3000億円出すなら、3000万で1000人の技術屋を10年養える。1000万なら3000人技術屋だ。あるいはポスドクを雇え。そういう政策をやってから批判しろ」

 経済産業省の管轄の産業革新機構は、潰れかかったシャープに3000億円を出して救済しようとした。結局7000億円出すという台湾・鴻海精密工業にさらわれたが、その3000億円で日本中に溢れ返っている半導体技術者を雇えと言っているわけだ。筆者もまったく同感である。坂本氏には、なんとか1000人の技術者を集めて、DRAMリターンマッチに勝利してほしいものである。
(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

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