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筈井利人「一刀両断エコノミクス」

電力自由化で供給不安&停電の危険、はまったく的外れである

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 パシフィック社は00年夏、電力不足をいくらか和らげようと、サンフランシスコ湾に発電機の付いた小型船を浮かべて少量の電力を供給したいと提案したことがある。だが州政府はこれを拒否した。

 規制により、カリフォルニアの電力会社は値上がりする電力の購入を強いられる一方、自らは値上げを許されなかった。その結果、需要の増大に対応できなかったのである。「カリフォルニアの電力不足は、まさしく州のエネルギー規制がもたらした結果」と経済学者トーマス・ディロレンゾは指摘する。俗説とは逆に、電力危機の元凶は規制緩和ではなく、規制のほうだったのである。

 同州の政治家や環境団体は、自分たちが引き起こした混乱の責任を、エンロンなど販売価格をつり上げた州外の「強欲」な電力会社のせいにした。しかし、それは筋が通らない。エンロンなどは多くの州で事業を営んだが、電力危機が起こったのはカリフォルニアだけだからだ。

 しいていえば、カリフォルニア電力危機から約3年後の03年に発生した北米大停電がある。同年8月14日、米国北東部と中西部の一部、カナダ・オンタリオ州にまたがる広範囲で起こった大規模な停電である。カリフォルニア電力危機とともに、規制緩和で電力の安定供給が脅かされた例としてあげられることがある。

 しかし、それはおかしい。北米大停電の原因は送電システムのダウンとされるが、この地域で送電システムにかかわる規制緩和はなかったからである。米シンクタンク、ケイトー研究所によれば、電力改革の一環として発電と電力小売りにかかわる規制はいくらか緩和されたものの、送電に関する規制はむしろ強化されていた。

日本、送電自由化は先延ばし


 そもそも米国で電力を含むエネルギー産業は、日本と同じく、もっとも厳しく規制された産業のひとつである。多少の規制緩和があったとしても取るに足りないし、カリフォルニアや北米の電力改革の実態が示すように、全体でみれば再規制や規制形式の変更にすぎない場合が多い。

 日本の場合も、4月から自由化されるのは発電と小売部門だけ。両者をつなぐ送電の自由化は20年まで延ばされた。発電しても送電するには電力会社の送電線を借りなければならない。そのために支払う利用料を「託送料金」といい、基本料金と従量料金で構成されるが、基本料金の比重が高い。

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