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星野達也『文系お父さんのための、テクノロジー講座』

交通事故の可能性解消へ…夜中に寝ながら移動も現実に 自動運転普及のインパクト

文=星野達也/ナインシグマ・ジャパン取締役 ヴァイスプレジデント

 燃費が良くなることで、消費する化石燃料が大幅に削減できるというメリットが思いつくが、そのサイズであれば、動力はむしろ電池式モーターで十分かもしれない。現在、電気自動車の決定的な課題として走行可能距離の短さが指摘されているが、車体重量が軽減できれば、当然走行距離も長くなり、その問題が解決されるだろう。

 つまり、自動運転が本格化すると、電池式のモーターを積んだ軽量の自動車で十分になるのだ。そうなると、ガソリンエンジンのような燃焼系エンジンの必要性は相対的に低くなるのかもしれない。ましてや、燃料電池車に至っては、インフラ整備に多大なコストがかかることから、根本からその必要性が問い直されるかもしれない。

運転する機会の消滅

 そして、もうひとつのインパクトである「運転する機会の消滅」について考えてみる。

 今の自動車は4人乗り、5人乗りが当たり前であるが、それは、運転できる人とできない人がいるという前提のもと、1人の運転手が、複数の同乗者を乗せて運転することを想定してつくられている。しかしながら、自動運転が実用化すれば、運転者とそれ以外という区別がなくなる。子供や高齢者など、運転手が必要な人たちも自由に移動ができるようになるため、子供の通学や通塾の自由度が上がるし、お年寄りが社会参加しやすくなるという面も期待できる。

 あたかも、孫悟空が移動に使う筋斗雲(キントウン:自由に移動できる雲)のように、必要があれば誰でもそれに乗って自由に移動できる、そんな時代になるのだ。

 考え始めると、妄想は尽きない。梅田の事故は、運転中に運転手が意識を失ったことが原因であるが、自動運転の場合、体調に変化をきたした搭乗者がいれば、そのまま行き先を病院に変更できるかもしれない。

 また、お盆や正月の帰省ラッシュの憂鬱からも解消されるだろう。交通渋滞の中をノロノロ運転しストレスがたまることがなくなり、たとえば家族で団らんしながら、あるいは映画を見ながら移動ができるのだ。これまでストレスの塊だった空間が、一気に憩いの場になるかもしれない。

 そもそも人間が運転しないのであれば、夜中に寝ながら移動してもよいので、昼間に移動する必要がなくなり渋滞も緩和されるだろう。

星野達也/ノーリツプレシジョン株式会社 代表取締役社長、ナインシグマ・ジャパン顧問

星野達也/ノーリツプレシジョン株式会社 代表取締役社長、ナインシグマ・ジャパン顧問

東京大学工学部地球システム工学科・同大学院修了。ルレオ工科大学(スウェーデン)客員研究員。1999年に三井金属鉱業入社、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、ナインシグマ・ジャパン(現ナインシグマ・アジアパシフィック)を共同創業。研究開発費100億円以上の企業を対象に、150社とプロジェクトを実施し、オープン・イノベーションのビジネスモデルを国内で展開する。2016年ノーリツプレシジョン株式会社入社、2017年同社 代表取締役社長に就任。

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