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また取次会社が破綻!取次業界、本格的崩壊期へ突入か…出版業界で連鎖破産の兆候

文=佐伯雄大
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「確かに通知の通り、2月末に太洋社から入金がありました。その後も3月5日払いの出版社にも入金されたと聞きました。この時点では、2月8日の説明会の約束は守ったことは認めます。しかし、芳林堂の影響については何も触れられていませんでしたので、太洋社が自主廃業できるかどうかは相当怪しい雰囲気でした」

 また、事情に詳しい出版社営業担当者は語る。

「メディアでは連鎖倒産として、芳林堂書店の自己破産が伝えられました。しかし、太洋社の営業赤字の原因となり、債務超過に陥る要因はむしろ芳林堂にあったようです。つまり、芳林堂は銀行ばかりに支払って、太洋社には払わなかったと聞きました」

 3月15日、「ご報告とお詫び」と題する最後の國弘通信が流れ、次の内容が説明された。

(1)帳合変更はほぼ完了
(2)芳林堂の自己破産によって11億6000万円(2月末)の売掛金のうち、8億円が焦付く
(3)芳林堂にある書籍・雑誌などの在庫を3億円で売却
(4)帳合変更に伴う決済で2億円が未回収

 最後に「もはや万策が尽きたものとして、自主廃業を断念し、この度、本日の午前10時をもって東京地方裁判所に対し破産申立をするに至った」と伝えた。

「芳林堂が原因となって、太洋社も自己破産に至ったのは事実なのでしょう。しかし、年商約40億円程度の芳林堂で、12億円もの売掛金が未回収になっているのは、いくらなんでも多すぎでしょう。結局、芳林堂も太洋社も一蓮托生の関係だったのです。どちらかがコケれば、そこで共倒れ。ならば、太洋社は自主廃業を決めた時点で、芳林堂への売掛金が焦付く可能性があることも承知していたはずです。芳林堂には支払い能力がありませんから。しかも、これだけ財務が悪化した書店の借金をほかの取次が肩代わりするのは容易なことではありません。

 結果的に、芳林堂は自己破産を申請し、書店事業をアニメイトグループの書泉に約1億5000万円で売却しました。抜け殻となった芳林堂はS企画と名前を変え、太洋社への債務を抱えたまま清算されることになりました。借金を切り離して、社員と店舗を存続させるのが最上の策だったということです。とすれば、太洋社も自主廃業できないことを承知していたのではないでしょうか」(出版社幹部)

 わずか1カ月足らずで自主廃業から一転して自己破産に転落した太洋社。出版社のコメントの通り、太洋社と芳林堂がそれだけ大きな債権債務を抱えていた、一蓮托生の関係だったがゆえの自己破産なのだろう。

不可解な支払い猶予

 しかし、芳林堂は出版業界では老舗書店として知られてはいるものの、一般的にはそれほどの知名度はない。そのレベルの書店に、なぜ太洋社は自社の経営がこれほど深刻になるまで、支払いを猶予してきたのだろうか。

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