Tカード採用はCCCへの利益供与か

 客が加盟店で支払った代金の数%が手数料になるという意味では、手数料の率こそ低いものの、クレジットカードと同じような収益構造になっていることがわかる。つまり、TカードはCCCにとって、継続して手数料収入をもたらしてくれる「自動集金ツール」となっている。

 それにもかかわらず、ツタヤ図書館を誘致した自治体では、図書カードにTカード機能を付加するにあたっては、そうしたTカード本来の手数料収入について基本的な仕組みを詳しく検討した形跡がまったくみられない。

 ポイントが付く便利機能を図書の貸し出しカードと一体化させることで、市民の利便性が向上する。なおかつ、既存のTカードを図書カードとして使うことで、新規にカードを発行する費用が大幅に削減されるとツタヤ図書館を誘致した自治体は市民に説明している。

 しかし現実には、CCCにしてみれば労せずにTカード会員を獲得でき、会員増加に伴って手数料収入も増加するカラクリなのだ。

 このように、公益性以上に私的利益が大きい事業を行政が後押しし、それどころか税金を使って会員獲得キャンペーンを展開しているのだから、常識を逸脱した利益供与と言わざるを得ない。

 クレジットカード業界関係者は、こう話す。

「クレカ同士の新規会員獲得合戦が、年々エスカレートしています。楽天カードのように入会特典として5000ポイント付与するのはもはや当たり前で、Yahoo!JAPANカードは8000ポイント付与、なかには期間限定で実質1万5000円相当のポイントがもらえるカードもあります」

 Tカードは、あくまでポイントカードであってクレカとは違うと思う向きもあるかもしれないが、Tカード作成にあたってCCCは厳密な本人確認書類の提示を求めているため、結果的に精度の高い個人情報を保持している。それをツタヤ図書館では、施設内店舗の無料券を2枚贈呈するだけで獲得できるのだから、相当にコストパフォーマンスは高いといえる。

 しかも、大人以上に価値が高いといわれる子供の個人情報ですら、図書館利用カードとの名目で大量に獲得できるのだから、CCCにとっては非常に大きなメリットだ。

 図書館の運営に際して、税金から運営委託費をもらっている一民間企業が、さらに自社の私的なポイントサービス会員の拡大を図ることは、果たして適切な行為といえるのだろうか。ツタヤ図書館は、公正な競争を阻害しているのではないかという疑問が拭えない。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

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