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椎名民生「不動産ビジネス最前線」

横浜傾斜マンション建替、三井不動産が詳細案提示を先延ばし住民困惑…建替難航の懸念浮上

文=椎名民生

腰の重い三井不動産レジデンシャル

 たしかに、これまでも欠陥マンションで問題が長引く典型的なケースは、業者側が提案した補修案に準じて施工したが、結果的に住民側の要求をクリアできないために問題がこじれることが原因となっていることが多い。

 LaLa横浜の場合、果たして補修で問題が解決するのか。十分な検討が欠かせない。今秋の決議で、2月の決定通りの全棟建て替えとなれば、2020年中には新しいマンションが建設され、住民は元の住居に戻ることが可能になる。

「区分所有者のみなさんには『2020年の東京オリンピックは問題が解決したマンションで見ましょう』と呼びかけてきましたが、現実的にはギリギリになってきました。というのも、三井不動産レジデンシャル側が建て替えの際の設計・監理につき、マスタープランまでは提示するのですが、そこから先の詳細な案を出してこないのです。建設は現在のマンションと同様に、三井住友建設でやってほしいというお願いはしています。一連の問題で明らかになったように、もっとも重要なのは工事監理です。この工事監理をする設計事務所の候補案を出してほしいとお願いしているのですが、なかなか出そうとしません」(同)

 三井不動産レジデンシャル側は、全棟建て替えまで「7年かかる」という。一方で、管理組合側は解体時の杭の入念な検証も含めて、全棟建て替えマンションの完成まで「5年以内」で進めようとしている。

「横浜市には協議会を設置していただき、対応窓口が一本化されました。行政等の事前協議や確認申請などは柔軟に対応いただけるようになっています。建て替え期間中の300人を超える小学生のバス通学案や高齢者のケアなど話は進んでいるのですが、三井不動産レジデンシャル側の動きの遅さが気になります」(同)

 さらに、三井不動産レジデンシャル側はすでに約700戸のうち、20戸を買い取っているという。今後、問題が長期化することを嫌い、売却を考える区分所有者が増えるかもしれない。売却が進み三井不動産レジデンシャルの持ち分が増え、建て替えに反対しないまでも保留にした場合、建て替え賛成の比率が下がり5分の4を下回る可能性が危惧される。

 鉄筋切断の横浜市西区のマンション(262戸)は、14年の時点で欠陥が囁かれており、すでに販売した住友不動産に部屋を売却した世帯は66戸あるという。売却された世帯を所有する住友不動産側は「住民の意向に沿う」との方針を示しているが、全棟建て替えに必要な区分所有者の5分の4以上をめぐる攻防も予想される。

 両マンションの動向を今後も注視していきたい。
(文=椎名民生)

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