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巨大化した「詐欺的」IT業界が、国民の生命や社会・経済を破壊する危険が現実味

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「名ばかり」エンジニアが増えた

 受託型IT業やユーザーのIS部門は、最初からダメだったわけではない。1960~80年代後半にかけて、世界に先駆けて大規模なオンラインシステムを構築したのは日本の企業だったし、大規模データベースの高速検索技術を開発したのは日本のITエンジニアだった。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)で世界から注目されているTRONの本格的な研究開発がスタートしたのは84年だった。

 これに対して、今世紀に入って、都市銀行のシステムトラブルやM&A(合併・買収)に伴うシステム統合の失敗、特許庁や人事院の「終わらないプロジェクト」などが目につくようになった。下請けITエンジニアによる個人情報の持ち出し・漏洩といった事件も起こっている。

 10年前と比べると、受託型IT業の就業者数は1.7倍の98.3万人、売上高は1.3倍の19.3兆円(いずれも経済産業省「特定サービス産業実態調査」による)と拡大したが、就業者ひとり当たり売上高は2割以上減ってしまった。「ITの利活用で生産性向上を」と訴えている受託型IT業が、マンパワー依存で生産性を落としているのは皮肉な話だ。

 多重下請け構造による劣化は、偽装派遣だけでなく、受発注価額の欺瞞にもつながっている。ユーザーが人月単価(1カ月・ひとり当たりの発注単価)100万円で発注しても、多重のピンハネが行われるので現場に派遣されるのは月60万円レベルのエンジニアだ。やむを得ない事情もあるのだが、考えようによっては、業界をあげて詐欺を働いている、と言えなくもない。そうしたあれこれがダメ論に拍車をかけている。

 だが一方で、JRのSuicaに代表される電子交通チケットシステムやH-2【編注:正式表記はローマ数字】ロケットといった大規模・複雑かつ100%の正確さが求められるシステムを実現しているのも事実。優れたプロジェクト・リーダーやエンジニアは一定数いる。しかし、全体の8割以上が「名ばかり」エンジニアということだ。

IoTは生命のリスクにかかわる

 現場にいるのが「名ばかり」エンジニアばかりでも、仕様や設計を厳密化し部材を規格化する、CAD/CAMを使う、作業を機械化する、構築手法を研究するようなことに、受託型IT業が真正面から取り組んでいるならまだ救いがある。しかし実情はマンパワー頼みで、建てることができるのはせいぜい“5階建ての鉄筋コンクリートビル”が目一杯かもしれない。それでもなんとかやってこられたのは、「名ばかり」とはいえ現場のエンジニアが踏ん張ってきたからにほかならない。

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