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小林敬幸「ビジネスのホント」

鴻海によるシャープ買収、交渉で「間違った」のは誰か?

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
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 また、第三者割当増資の場合、新株主は対象会社と主に直接交渉する。しかし、前述の通りもともと新株主と対象会社では利害が一致し、その両者と旧株主との利害が反する面がある。そこで、新株主と対象会社で盛り上がって気持ちよく増資の準備を進めていたのに、既存株主が急にへそをまげて頓挫することが起こる。

 だからといって既存株主の利害ばかりを優先して居丈高に交渉していると、対象会社の経営陣が表面ではペコペコしながら少しずつ交渉が成り立たないようにリードしていくことになる。結局、買収側は対象会社と交渉しながら、同時に旧株主の意向にもバランスよく配慮しておいたほうがいい。そうでないと、最終局面でちゃぶ台返しが起こったりする。こういうときに思い出さなければいけないのは、ビジネスの基本中の基本で「客を間違えるな」である。

 こうして今回の件は、世間一般の営業の実務で大切にされている「誰の財布の話なのか」「客を間違えるな」という基本をおろそかにした者が、思い通りにいかなかったのではないだろうか。
(文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者)

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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