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小笠原泰「コンピュータ技術の進歩と日本の雇用の未来を考える」

製造業が国内回帰しても無人工場が増えるだけである…なぜ人々の「仕事」は減るのか?

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ペティ・クラークの法則

 これまでの工業化以降の大きな流れは、企業の多国籍化・グローバル化と技術革新による産業構造の変化により、ルーティン生産に従事する工場労働者を中心とする仕事が先進国を中心に機械へと代替された。加えて技術進歩により、そのような仕事そのものも減少するが、先進国のGDPが順調に成長していた、つまり行き場を失った工場労働力を吸収し得るほかの産業セクターとして第三次産業が拡大していたということである。

 これを人間欲求の観点から合理的・必然的発展として説明したのが、「ペティ・クラークの法則」である。これは、経済発展に伴い国民経済に占める比重は自然界から原料を採取・生産する第一次産業から原料を加工する第二次産業へ、そして第一次・二次産業に含まれない無形財に基礎を置く第三次産業へと移行していくという法則であり、産業構造と社会の高度化を意味していた。

 日本もこの「ペティ・クラークの法則」に漏れず、第二次産業の就業者数が70年の1790万人(全就業者数のなかで占める割合:34.1%)から2010年の1412万人(同25.2%)へ減少する一方で、第三次産業就業者数は1970年の2451万人(同46.6%)から2010年の3965万人(同70.6%)へと着実に増加した。

 このように書くと、いかにも産業構造と社会が高度化したように聞こえるが、雇用吸収という観点では、第三次産業が第二次産業において失業した労働力を吸収するブラックホールのような存在であったともいえよう。それも、第三次産業のなかの労働集約的な産業がその受け皿であったことは間違いないだろう。

 歴史的にみると、先進国では主にルーティン生産に従事する工場労働の仕事は徐々になくなってきたが、欧米では2010年代初頭から、日本ではここ1~2年、人工知能を筆頭とする技術進歩により仕事がなくなるという話題が突如注目を浴び、社会の関心を集めている。一過性のブームととらえることもできるが、筆者は、現在進行する技術革新は産業革命に等しい大きな社会転換をもたらすのではないかと考えており、想定される社会構造の転換を理解することが重要であると考える。次回、現在進行している仕事の喪失は、これまでのそれと根本的に何が違うのかを整理してみたい。
(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)

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