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危険な牛肉、流通の恐れ…牛のBSE検査を国が大幅緩和、これまでの危険部位も検査対象外に

文=小倉正行/フリーライター
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「従来型のBSEとは異なる性状の非定型BSEは全世界で100例ほど確認されていますが、孤発性と考えられる非定型BSEに関する科学的知見は乏しく、リスクの推定は困難となっています。農研機構 動物衛生研究所は、非定型BSEの性状解明に関する研究を進めてきました。カナダで確認されたH型非定型BSEの材料を型プリオンたん白質遺伝子改変マウス(牛型マウス)で継代培養することによって、新たなBSEプリオンが出現することを明らかにしました。このプリオンは牛への脳内接種実験で従来のBSEに比べて短い潜伏期を経て、BSEを発症させることが確認されました。新たなBSEプリオンの出現は、非定型BSEが牛群で継代された場合に病性が変化する可能性を示唆するものと考えられます」

 要するに、非定型BSEが動物で伝達を繰り返すことによって、新たなBSEプリオンが出現する可能性が明らかになったということである。その新たなBSEプリオンは、潜伏期間が従来の16.2~22.5カ月から14.8カ月と短くなり、脳内の蓄積パターンが異なるものであった。

 では、健康に見える牛を原則検査しないという今回の方向転換により、この非定型BSEが私たちの食生活に入り込まない保証はあるのだろうか。この非定型BSEは、高齢牛に発生しやすいと指摘されており、48カ月齢以上の牛のBSE検査をしてきたこれまでの検査体制であれば排除される余地があったが、今回の見直しが実現すれば48カ月齢以上の検査はなくなるのであり、この非定型BSE牛が私たちの食卓に入り込む可能性は高くなる。

 さらに、厚生労働省は、これまで危険部位としてと畜場で廃棄していた扁桃及び回腸遠位部、脊柱を危険部位から外すことを求めており、脅威はいっそう増すことになる。

 食品安全委員会プリオン専門調査会は次回から、この非定型BSEについて審議をする予定になっているが、国民の食の安全を守る防波堤になるかどうか、その真価が問われることになる。
(文=小倉正行/フリーライター)

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