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岡田正彦「歪められた現代医療のエビデンス:正しい健康法はこれだ!」

過剰ながん検診で子供の死亡例も…がん検診の危険性

文=岡田正彦/新潟大学名誉教授
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 事故前、厚生労働省から定期的に発表されていたデータでは、「19歳以下での甲状腺がんによる死亡例はゼロ」でしたから、異常に高い数字だということになります。しかし、これを放射能のせいと決めつける前に、考えるべきことがひとつあります。がん検診には「過剰診断(overdiagnosis)」の問題が常につきまとうということです。

 かつて日本では、「神経芽腫検診」が行われていました。生後間もない赤ちゃんや小児に認められる特殊ながんを対象にしたがん検診でしたが、発見例のほとんどが「放置しても命にかかわらないもの」であることが、あとになって判明しました。2003年、厚生労働省は検診の中止を決めましたが、この間、過剰診断にともなう過剰な治療によって16人の赤ちゃんが命を落としていたのです。

 福島県から遠く離れた地域で行われた調査によれば、4365人の子供を検診して1例の甲状腺がんが見つかったそうです(福島県での検診とほぼ同じ割合)。本来、子供の甲状腺がん死亡はゼロのはずですから、このデータは、検診によって過剰診断が生じたことを示しています。福島県の検診についても同じことがいえるでしょう。

 残念ながら、放射能と発がんとの関係についてわかっているのはここまでです。断片的なデータを羅列するしかなく、真相はいまだ不明なのです。この難問に対しては、まず調査方法の間違いを正す必要があり、その上で科学的な分析と考察を続けていかなければならないでしょう。感情に流されず、冷静な対応が求められるところです。

 最近になり、学術論文でもなく、政府の広報でもなく、またメディアの報道でもないところで真実が語られていることを知りました。原発に賛成している人、原発政策を推進している政治家には、ノーベル文学賞受賞のS・アレクシエービッチ著『チェルノブイリの祈り』(岩波現代文庫)をぜひ読んでほしいものです。そのほかの文献は、拙著『放射能と健康被害 20のエビデンス』(日本評論社)にまとめましたので、ご参照ください。
(文=岡田正彦/新潟大学名誉教授)

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