パナマ文書を作成したとされるモサック・フォンセカは自らの業務に一切の違法性はないと表明している。しかし、OECDは緊急会合を開催する方針を示した。また、4月14日から米ワシントンで開催されるG20会合でも課税逃れへの監視強化が協議される。国際的な対応を見る限り、パナマ文書に対する疑念は強い。

パナマ文書に名前の挙がった人物

 パナマ文書には、英国、中国、ロシアなどの首脳、その親族らの名前が挙がっている。報道直後、特に批判を浴びているのが英国のキャメロン首相だ。キャメロン首相は亡父がパナマに設定した信託(ファンド)の権益を、一時期保有し、2010年には売却して利益を得たことを認めた。

 キャメロン首相は課税逃れを批判する代表的な政治家として知られてきた。一方で、自らがタックス・ヘイブンを通して利益を得たことは、「発言と行動が違う」との反発を有権者や野党から受けている。パナマ文書発覚後、首相が曖昧な回答に終始し、一転して亡父のファンドに資金を預けていたことを認めたことも、批判を集めている。

 中国共産党の現職、およびかつての指導部の親族などの名前もパナマ文書に挙がっている。習近平国家主席の義兄をはじめ、中央政治局常務委員会(共産党の最高意思決定機関)の序列上位に位置する人物の親族などがオフショア金融取引を行っていたようだ。もし国の最高意思決定機関の親族が資産隠しを行っていたとなれば、批判は大きく高まるだろう。

 また、ロシアではプーチン大統領の友人の名前がパナマ文書に記載されていた。大統領は自らの関与を否定しているが実体は不明瞭だ。そのほか、ウクライナのポロシェンコ大統領、サウジアラビアのサルマン国王などの名前もパナマ文書に記載されていると報じられている。

今後の展望

 パナマ文書の詳細は今後の分析を待つ必要がある。ただ、特に英国、中国の動向は世界経済の不透明感を増す要因になり得ることには注意すべきだ。

 英国でのキャメロン首相に対する批判は高まっており、辞任を求めるデモが発生している。これは、英国のEU離脱(Brexit)の気運を高める恐れがある。キャメロン首相がEU残留を重視しているだけに、首相への批判は世論をEU離脱に傾けやすい。英国がEUから離脱するとの見方が強まれば、英国に欧州拠点を置く金融機関が大陸欧州に拠点を移すなど経済への不安が高まるだろう。それは、英ポンドや英国株に対する売り圧力を高めるだろう。

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