サプライチェーンが寸断

 東日本大震災では車載マイコンと呼ばれる半導体のサプライチェーンが寸断され、自動車メーカーは長期間、生産を休止した。

 自動車の頭脳、中枢神経に当たるのが、自動車制御用マイコンだ。ルネサスエレクトロニクスは車載マイコンで世界シェアの4割を占める。この車載マイコンを生産していた茨城県那珂工場が東日本大震災で被災した。

 ルネサスは車載マイコンで高い技術をもち、代替の利かない部品をトヨタやホンダなど日本の自動車メーカーにほぼ独占的に供給していた。

 サプライチェーンは、自動車メーカーを頂点に1次サプライヤーから地場の4次、5次のサプライヤーまでピラミッド構造でつながっている。強固な結び付きによって、在庫を極力もたないジャスト・イン・タイム体制を確立。自動車メーカーの高い国際競争力の源泉となっている。

 歴史は繰り返すのである。今回の熊本地震も同様だ。自動車メーカーが被災したわけではない。熊本にある部品工場が被災して、生産できなくなっている。部品の供給が滞り、自動車メーカーは生産停止に追い込まれた。

トヨタは全国で生産停止

 トヨタは4月17日、18~23日に国内で車両組み立てを行うグループ企業16工場のうち、15工場を段階的に停止すると発表した。ダイハツの本社工場を除くすべてがストップする。23日以降の対応は20日をメドに判断するが、長引く可能性もある。

 福岡県の拠点は15日から生産を止めたが、愛知県や宮城県などの工場も稼働を見合わせる。全体で5万台程度の生産が減る見通しだ。

 トヨタの主力工場のほか、車両の生産を委託するトヨタ車体や豊田自動織機などグループ企業の7工場も生産を止める。日野自動車は19~23日まで、トヨタ自動車東日本も22日から停止する。

 トヨタは愛知製鋼の爆発事故で、2月に1週間車両生産を停止。約9万台の生産が遅れ、夏までに挽回する計画だったが、熊本地震によるアイシン精機子会社などの2工場がストップして、ドア部品やエンジン部品の供給ができなくなっている。熊本では余震が続いており、復旧や代替生産の見通しが立てられないためだ。

【操業停止になっている企業・工場】

※以下、企業名、工場所在地、生産品目
・富士フイルム九州、熊本県菊陽町、液晶テレビなどに使う保護フィルム
・パナソニック、熊本県和水町、電子部品
・ブリヂストン、熊本県玉名市、ゴム製品
・井関農機・熊本製造所、熊本県益城町、コンバイン
・HOYA(熊本工場)、熊本県大津町、フォトマスク(回路原板)
・ニフコ熊本本社工場、熊本県合志市、自動車の樹脂部品

(文=編集部)

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