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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」(4月19日)

アマゾン、利益出さずに巨額現金生むモデル…楽天、在庫リスクゼロで会員顧客を循環させ利益

文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学客員教授
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ネット通販は利益の確保が難しい?

 マーケティング情報専門紙の日経MJは、15年6月に発表した小売業調査において、「14年度にネット販売で『利益が出た』とした企業は回答社の34.2%にとどまり、ネット通販での利益確保が難しいことを示している」「(配送費の上昇もあり)『稼げるモデル』はまだ構築されていない」と書いている。

 ネット通販に進出した多くの企業が目標としているアマゾン自体が、創業後20年以上たってもいまだに継続的に利益を出していないのだから、日経MJのコメントは驚くべきことでもない。

「稼げるビジネスモデル」ということで大手eコマースを比べてみると、アマゾンにしても楽天にしても、在庫リスクの低いビジネスモデルだということに気がつく。楽天にいたっては、モールのオーナーとして出店料と売上高の一定割合を徴収するだけで、自社の在庫リスクはゼロだ。

 最近はモール全体の売り上げが落ちていると騒がれているが、今の楽天は営業利益の2割を稼ぐまでになっている金融サービスのほうに力を入れているのではなかろうか。モールを運営するのにかかる人件費や時間と比べて、金融サービスは手間暇がかからない割りに利益率の高いビジネスだ。モールビジネスで獲得した会員を金融サービスに循環させる――。これが楽天の利益を稼ぐ仕組み(ビジネスモデル)だといえる。

 スタートトゥデイは2000点以上の商品を販売しているが、そのうち買い取り商品はわずか4%で、受託商品が80%を超えている。受託商品の場合は、売れなかったら返品できるから在庫の問題はない。そして同社も、他企業のサイトの設計から運営までを請け負う事業が、全売り上げの14%近くを占めている。

 つまり、両社とも在庫リスクのない手数料ビジネスを中心とし、そのうえ本業の小売業で獲得した顧客ベースや自社ノウハウを活用したサービスで損失を補う、あるいは利益を押し上げているといえる。

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