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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」(4月21日)

苦境ユニクロ、密かに進む壮大な計画…商品で2千種の組み合わせから自由に選択

文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授

商品発表直後に消費者は購入したがる時代

 そして、ここにきてビジネスモデルとしては、ZARAのビジネスモデルのほうがユニクロ方式より競争優位に立てるのではないかという要因がもうひとつ出てきた。

 2月29日付本連載記事『「モノを持たないシンプルな暮らし」を主張する人々は、なんでも買える金持ちという事実』でも言及したように、消費者は時間に対して「せっかち」になっている。「待つ」ことが大嫌いになっているのだ。

 欲しい洋服を見つけたら「すぐに着たい」、「すぐ手に入らないなら要らない」という消費者には、世界的に著名なデザイナーですら影響を受けている。16年2月に発表された米ニューヨークコレクション(秋冬用)は、「ファッションショー150年の歴史を塗り替えたといっても過言ではない」と報じられた。

 従来、プレタポルテ(既製服)はコレクションの発表から店頭での発売開始まで半年待つのが常識だった。だが、ショーを鑑賞した業界人やセレブリティがソーシャルメディアでリアルタイムに発信することにより、一般消費者も最新コレクションを見て知ることができるようになった。

 デザイナーのトミー・ヒルフィガ-は「若い世代は見たものをすぐに手に入れたがる」と語っている。結果、著名デザイナーの中には、ショーで披露した商品のいくつかを直後に販売する人物もいる。また、一般的なデザイナーと同じように秋冬もののショーを春に開催するのではなく、デザイナーで映画監督デビューもしたトム・フォードのように、9月に「すぐに買えるコレクション」として披露する方針に変更する人も登場してきている。

 そもそも、気候の問題だけでなく、世の中の変化が目まぐるしい時代において半年も前にコレクションを発表すること自体が時代遅れだ。ZARAは、01年の9・11同時多発テロ発生後2週間以内に、乗馬をテーマにした洋服だった店頭商品を、すべて黒を基調にしたものに変更できている。

ルディー和子/マーケティング評論家

ルディー和子/マーケティング評論家

早稲田大学商学学術院客員教授。
国際基督教大学卒業後、結婚・渡米を経て帰国、
米化粧品会社のエスティ ローダー社で働きながら
上智大学国際部大学院経営経済修士課程修了。
エスティ ローダー社ではマーケティングマネジャー、
出版社タイム・インク/タイムライフブックス社での
ダイレクトマーケティング本部長を経て、
マーケティング・コンサルタントとして独立、
自身の会社ウィトン・アクトンを設立
ルディー和子オフィシャルブログ

Twitter:@shouhigaku

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