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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

実母と義母が同時に要介護に…増加する多重介護、こうすれば無理なく行える!

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
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 とくに、専業主婦の妻など、メインの介護の担い手になりがちだが、夫の親については、嫁の立場からキーパーソンにならないほうが無難。とかく女性は、「いい娘」「いい妻」「いい嫁」として自分ががんばらねばと問題を抱え込みがちだ。

 だが、どんなにがんばっても嫁の立場では角が立つことが少なくない。さらに、「夫の親を優先。妻の親は後回し」など対処法によっては、離婚やトラブルの原因となりやすい。要介護度や利用できる地域資源、協力者などの状況を見ながら、どちらの親であっても気持ちは主体的にかかわりあっていくことが肝心だ。

平均介護期間は5~10年が目安

 
 そして介護は一生続くわけではない。生命保険文化センターによると、平均介護期間は59.1カ月で約5年。ただ、この結果は、現在も介護を継続している人も含まれおり、10年以上も15.9%を占めている。

 一方、健康寿命と平均寿命から推定する見方もある。健康寿命とは、日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間のこと。14年の日本人の平均寿命は女性86.83歳、男性80.50歳で、ともに過去最高を更新。それに対して、13年の健康寿命は女性74.21歳、男性71.19歳となっている。健康寿命と平均寿命の差は、女性12.62年、男性9.31年と考えると、平均的な介護期間は10年前後ともいえる。

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親の介護に携わることができたのは私の“財産”のひとつ

 この期間を長いとみるか短いとみるかは人それぞれだが、いずれにせよ、親の介護を考えることは、将来の自分自身の介護や在り方につながる。

 自分や夫の両親や祖父母まで介護したというB子さん(55歳)は、次のように語る。

「本当に、本当に大変でしたが、大人になってから両親と一緒にいる時間が持てたし、介護を最後までやり切ったという事実は、私の何よりの財産であり宝です。でも、子どもには絶対に親の介護をしようとするな、と言っていますけどね」

 結婚しなくても、子どもやマイホームを持たなくても、生きている限り、人は老いていくもの。どうせいずれ介護が必要になるのであれば、いかにお互いが快適にその期間を過ごすかを考えてみてはどうだろうか。
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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