北陸新幹線は開業フィーバー

 新幹線の開業フィーバーといえば、昨年の北陸新幹線が記憶に新しい。

 15年3月14日に開業した北陸新幹線(上越妙高-糸魚川間)は、開業から3日間に8万4000人が利用して平均乗車率は48%だった。利用者数は北海道新幹線の2.8倍、乗車率は5ポイント高かった。

 北陸新幹線の利用者は今年4月13日、1000万人を突破した。開業以来、1年と1カ月で大台に到達した。JR西日本は、在来線特急の2倍程度の乗客数を想定していたが、延伸前の在来線特急に比べて3倍で推移している。2年目に入っても北陸新幹線の勢いは続いている。

 開業当初、JR東日本は自社の運営区間だけで16年3月期の収入予側を285億円と試算していたが、予想を大きく上回り450億円になったという。

突破できなかった「4時間の壁」

 一方、JR北海道に新幹線の神風は吹きそうにない。最大の理由は「4時間の壁」だ。北陸新幹線で航空各社は打撃を受けたが、北海道はそうはならない。

 新幹線か航空機か。交通機関を選択する際、所要時間が4時間を切ると新幹線が優位に立つとされる。北陸新幹線が東京-金沢間を2時間28分で結び、航空機(羽田-小松間)の利用客は4割も減った。

 北海道新幹線の東京-新函館北斗間は最速で4時間2分。函館へは列車を乗り換えてさらに20分かかる。「4時間の壁」を破れなかったため、北海道旅行では飛行機が有利な状況が続く。

 4時間の壁を破れなかった最大の原因は、青函トンネルを含む82キロの区間で貨物列車と線路を共用しているからだ。北海道新幹線の最高速度は260キロだが、共用区間ではすれ違う際の風圧で貨物列車の積み荷がくずれないようにとの配慮から140キロに抑えられている。青函トンネルで減速しなければならないため4時間の壁を突破できなかった。

 4月1日、青函トンネル内を走行中に緊急停止していたが、JR北海道は公表しなかった。緊急停止は3月26日の開業後初めて。トンネルとその前後の82キロは、フル規格の新幹線として唯一、貨物列車と線路を共用するため3本のレールが敷かれている。新幹線用と在来線用のレールの狭い隙間に落ちた金属片に通電して、停止信号が出たのが原因とみられている。これに対する有効な再発防止策はなく、再発する可能性がある。

 JR北海道は「遅れはわずかで影響は小さかった」として、緊急停止があったことは公表しなかった。奥津軽いまべつ駅には2分遅れで到着した。

 JR北海道によると、4月1日午後1時15分頃、新函館北斗発東京行き「はやぶさ22号」が、青函トンネル内の旧吉岡海底駅付近を時速140キロで走行中に自動列車制御装置(ATC)の停止信号を受信、非常ブレーキが作動した。

 初めて津軽海峡を越える新幹線は難問を抱えたまま発車した。運行母体のJR北海道は「新幹線の収支の均衡は難しい」と悲鳴を上げる。

 数年後には、JR北海道の救済が重要な政治的テーマに浮上してきそうである。
(文=編集部)

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