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国、言論・報道の自由を著しく制限へ 理由秘密のまま逮捕され懲役10年のおそれも

文=林克明/ジャーナリスト
国、言論・報道の自由を著しく制限へ 理由秘密のまま逮捕され懲役10年のおそれもの画像1判決の傍聴を呼びかけるビラ

 チェルノブイリ原子力発電所事故の30周年にあたる4月26日、午後3時から東京高等裁判所101号法廷で、ジャーナリスト、編集者、写真家、映画監督など、フリーランス表現者43人が提起した「特定秘密保護法違憲訴訟」の控訴審判決が下される。

“現代版の軍機保護法&治安維持法”に真っ向から挑む裁判であり、まさに歴史的な判決となる。最高裁判所に上告された場合、口頭弁論等は開かれないのが通例なので、今回が最後の法廷となる可能性が高い。

 ちなみに、この日は安保法制違憲訴訟の集団訴訟が提起される予定もある。この裁判も歴史的なものになるだろう。

 秘密保護法は、ブレーキが最初から設計されていない暴走列車だ。行政の長が特定秘密を指定でき、その秘密を漏らした者と入手もしくは入手しようとした者の双方が罰せられる。最高で懲役10年の重刑が科せられる。

 特定秘密は4分野(防衛秘密、外交秘密、特定有害活動情報、テロ情報)だが、いつでも拡大できる。最大のポイントは、秘密そのものが隠されることである。

 直接の取扱者、そして取り締まる警察以外には何が秘密か知らされない。したがって場合によっては、自分が何をしたかもわからずに逮捕→起訴→有罪→刑務所という流れになりかねない。

 つまり、政府が自分たちの失政、失策、不正を半永久的に隠すことも可能な法律といえよう。

 しかも、「戦争法」とも呼ばれる安保法制の審議において、中谷元防衛大臣は安保法の運用が特定秘密と連動している旨を何度も答弁した。これで、従来から指摘されていた「戦争のための秘密保護法」が現実のものだということになるだろう。

 同法が本格的に適用され始めれば、まさに暗黒の時代となる。報道の自由、言論表現活動の自由は著しく制約されるため、フリーランスのジャーナリスト、編集者、写真家、映画監督などが、同法の違憲確認・施行停止・損害賠償を求めて2014年3月28日に東京地裁に提訴した。

東京地裁「実際に誰も逮捕されていないので判断しない」

 東京地裁の谷口豊裁判長は15年11月18日、憲法判断を避け、秘密保護法の成立・施行による被害に対する賠償請求を棄却した。裁判の途中で法が施行されたため、すでに原告は「施行差し止め」については請求を取り下げていた。

 判決の要点は、「不利益処分等(刑事訴追等)が原告らに対して現実的に発動されている等の状況を前提とするものではなく(中略)その主張はいまだ具体的な紛争を前提としない抽象的なものにすぎない」(判決理由)というものだった。つまり、原告らが逮捕・起訴されるなどの重大被害を受けてないから判断しない、実際にそういうヒドイ目にあったら審理してあげてもいいよ、ということである。三権分立を自ら放棄したような判決といえる。

 原告のほとんどが納得せず、東京地裁に提訴した42人(裁判中に1人死亡)のうち37人が控訴した。その第2審の判決が4月26日に出る。

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