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三菱自の燃費データ不正、他社も同様の可能性…企業存亡の危機、自力再建は困難

文=井上隆一郎/桜美林大学教授
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 筆者の聞いたところによれば、他社でも実車から装備を外して軽量化し高燃費データをはじいて国交省に提出している例もあるという。装備が一部ないので買う人もいないし現実に売る気もないのだが、カタログには載せていて、不正のそしりを免れているようだ。真偽は定かではないし不正とは言い切れないが、三菱自の不正行為と同罪ではないか。つまり、今回の三菱自の不正と紙一重の行為を、各社も行っている可能性があるということだ。

かつてない窮地に追い込まれる

 
 三菱自動車生え抜き技術者である相川哲郎社長も今回の件を率直に不正と認め、真偽、経緯、原因を究明し、再発防止策を確立すると約束している。三菱自はこの問題から逃げることはもはやできない。恐らく相川社長の辞任も逃れられまい。三菱自は00年のリコール隠し以上の窮地に追い込まれる可能性が高い。

 問題は三菱自がこの窮地から抜け出すためのシナリオである。三菱グループの力も含め、自力での窮地脱却はもう困難ではないかと考えられる。外部の力に頼るしかないが、力を貸そうとする企業はあるのだろうか。国内の企業、特に自動車企業が手を貸すことはないだろう。三菱自の経営資源で魅力があるのは人材くらいだが、これは個別に引き抜けば済む話であり、退職者を待っていれば自然に流れてもくる。

アジア外資系企業による救済

 
 ただ、外資から見ると話は違ってくる。アジアにおける三菱自のブランドの存在感は、日本で感じるものとはまったく異なり非常に高いからだ。タイやインドネシア、中国でも高いイメージを有していて、それなりのシェアを獲得している。東南アジアで苦戦している欧米企業はもちろん、韓国、中国、場合によってはインド企業が食指を動かす可能性がある。

 今回の被害者ではある日産・仏ルノー連合による救済も期待したいところだが、必ずしも自社の足しにつながるとは限らない救済は考えないドライな社風なので、望みは少ないのではないか。

 しかし、外資系企業によるシャープ救済に大騒ぎした国柄である。日本の「虎の子」の自動車産業の救済をアジア企業にゆだねる度量はあるのだろうか。
(文=井上隆一郎/桜美林大学教授)

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