「ひとつのことにのめり込みやすい人や努力家と呼ばれる人は、ドーパミンが分泌されやすい体質であることが多く、目標を失った時に手近なギャンブルにハマってしまうのです。また、ギャンブル依存症になりやすいかどうかには、遺伝的要因もあります」(同)

 最近の研究では、ギャンブル依存症には遺伝も関係していることが明らかになっている。米ミズーリ大学の研究チームは、家系にギャンブル依存症患者がいる場合、少なくとも20%がギャンブル依存症もしくは予備軍であるという調査結果を発表した。

家族でも、借金の肩代わりは絶対NG!

 原因がドーパミンの過剰分泌か、それとも遺伝的なものなのかはわからないが、身近にギャンブル依存症の人がいると、周囲の人間が苦しむ結果になることが多い。

 なかには、善意から、ギャンブルによってつくった借金を肩代わりしてあげようとする人もいるかもしれない。しかし、田中氏は「借金を肩代わりする行為は、絶対にしてはいけない」と語る。

「たとえ家族でも、借金を肩代わりするのは依存症の回復を大幅に遅らせてしまうだけなので、絶対にしてはいけません。ギャンブル依存症は、周囲の金銭的サポートを失った時に初めて進行が止まり、治療への道が開ける病気なのです」(同)

 つまり、ギャンブル依存症患者に対しては「何もしない」ことが最大のサポートになるのだ。借金を肩代わりしても、問題を先延ばしにするだけで何も解決しない。さらにギャンブル依存症が進行して財産を使い果たし、周囲を巻き込んで共倒れにもなりかねない。

 実際、裕福な家庭であるほど何度も借金を肩代わりして、結果的に治療が遅れ、悲惨な結果になってしまうという事例も多い。

「ギャンブル依存症は糖尿病と同じように、改善はしても完治することはない病気です。糖尿病患者が糖質制限をするように、ギャンブル依存症患者はギャンブルを制限して生きていくしかありません。そのためにも、自助グループなどのケア団体と関係を持ち、常につながっていることが大事です」(同)

 依存症の人に必要なのは、説教ではなく「やめ方」である。ギャンブル依存症を「だらしない人間」の末路として捉えるのではなく、誰もが陥る病気と認識して、正しい治療法を啓発していくことが重要だ。
(文=鉾木雄哉/清談社)

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