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三菱自の不正、指摘した日産への疑惑広がる…早い段階で把握か、強烈なプレッシャーも

文=河村靖史/ジャーナリスト
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日産の期待

 さらに三菱自が不正に踏み切った理由として、自動車メーカー役員は「日産の期待に応えようとしたのでは」と分析する。

 燃費で不正を行っていた三菱のeKワゴンと日産のデイズは、両社初の共同開発車だ。日産は、自社の技術力を採用した軽自動車を開発して、国内市場で存在感が増している軽自動車の販売てこ入れをするため、三菱自と軽自動車を企画・開発する合弁会社NMKVを折半出資で設立した。三菱自としても国内市場で強い販売力を持つ日産と提携して日産向け軽自動車を生産することにより、工場の稼働率アップや量産効果によるコストダウンが見込める。

 実際に、不正対象の軽自動車62万5000台のうち、日産が46万8000台と、三菱自の15万7000台の約3倍で、三菱自の軽自動車を生産する水島製作所は日産の軽自動車が支えているともいわれる。

 三菱自は明言していないものの、軽自動車の燃費目標の策定には、共同開発している日産もかかわっているとみられる。

「日産が掲げる燃費目標を達成できずに軽自動車の委託生産を受けられなくなれば、困るのは三菱自だったはず。日産からのプレッシャーが、不正に走った原因なのではないか」(業界関係者)

早い段階で把握か

 また、今回不正が発覚したのは日産による指摘がきっかけだったが、共同開発なのにもかかわらず日産側は当初から不正を認識していなかったのか、疑問視する声も多い。相川氏は「開発合弁会社から当社に開発が委託されている。技術を開発に織り込むなかで日産からさまざまな知見も頂いている。そういった意味では共同開発だが、開発の責任は三菱が全責任をもっている」と述べ、走行抵抗のデータ提出は三菱自が担当だとして、日産の関与を否定する。

 ただ、三菱自にとって日産は軽自動車を大量に購入してくれる重要な顧客であり、日産の関与を否定するのは当然だ。日産のカルロス・ゴーン社長は「(不正行為の)全貌が解明されるまで待つ。すべての事実が出そろってから(関係を見直すかどうか)決定を下す」と、日産は「被害者」との立場を鮮明にする。

 少なくとも、日産は三菱自が燃費で不正を行っていることは早くから認識していた節がある。日産はスズキからも軽乗用車のOEM供給を受けている。日産が三菱自と軽自動車での協業を強化していくなかで、日産とスズキの軽自動車分野での関係は薄れており、スズキから供給されている日産「モコ」は生産打ち切りが決まっている。にもかかわらず日産とスズキから提携解消のアナウンスはなく、現在も日産はモコの在庫販売を細々と続けている。

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