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垣田達哉「もうダマされない」

日清カップヌードルが八方塞がり…中止CM擁護の声が大きくなるほど苦境が深刻化

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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日清の本音

 消費者はわがままであり、あまのじゃくだ。企業にとっての命題は、そんな消費者をいかに味方につけるかだ。素直でない消費者は「本当、いいCMだ」とはなかなか思ってくれない。「こんなCMのどこが良いのだろう。どうせ日清にオベンチャラしたい人が、良かった、好きだと言っているだけなのだろうな」となる可能性がある。

 ましてや、自分が嫌いな有名人が褒めていると、それだけでその企業が嫌いになることもある。だからCMは好感度が高い人を使うのだ。「ファンになってくれとは言わないが、せめて嫌いにはならないでくれ」という傾向が、大企業になればなるほど強くなる。日清としては「CMのことなんかどうでもいい。カップヌードル食べておいしかったと言ってくれ」というのが本音だろう。

 筆者は事業者向けの講演で、「クレームが多い企業ほど消費者に期待されている証だ。期待しているからこそ何かを伝えたいのであって、期待していない企業には何も言わない。クレームが多いことを喜ばなければいけない」とよく言っている。今回のCMに関しても、日清が注目されているからこそ多くの反響があったのであり、どうでもいい企業には、誰も何も言わない。

 大企業は、お客からのどんな声に対しても誠意をもって対応している。その声を聞いてどうするかは、それぞれの企業の判断であり、外部の人間には計り知れないものがある。

 日清の本音は、「著名人の皆さん、良識のある皆さんだからこそ、そっと見守っていただけないでしょうか。私たちの大切なお客に向かって機嫌を損ねるようなことは言わないでいただけないでしょうか」ということではないか。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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