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ディズニーR、客離れ深刻…アトラクション「飽き飽き感」で顧客満足度低下か

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

 顧客満足度に大きく影響しているとみられる付加価値の低下について、別の視点から考察してみたい。TDRのテーマパーク事業は、基本的にアトラクションの魅力に大きく影響されると考えられる。「ミッキーマウスが好き」「ショーが好き」といった理由でTDRを訪れる人もいるだろうが、スペース・マウンテンやビッグサンダー・マウンテンといった魅力的なアトラクションが来場の主な目的だろう。付加価値はアトラクションの魅力と強い因果関係があるといえる。

 オリエンタルランドは、TDRのアトラクションなどに年平均で500億円レベルの投資を行っている。定期的に新しいアトラクションを投入することで顧客を飽きさせないようにしている。新しいアトラクションを目当てとするリピーターを増やす戦略だ。

アトラクションの売り上げへの貢献度

 ここで、「有形固定資産回転率」という経営指標に注目したい。これは有形固定資産と売上高の比率で、構造物や建物といった固定資産がどれだけ売上高に結びついているのかを表す。TDRではアトラクションなどがどれだけ売上高に結びついているのかを表す数値と考えることができる。

 有形固定資産回転率では、数値は高いほど良い。オリエンタルランドの直近10年の有形固定資産回転率を見てみると、06〜12年度は0.64~0.87回で推移し上昇傾向にあった。13年度はTDRが30周年を迎えたこともあり、1.08回に上昇した。14年度は1.07回、15年度は1.06回となっている。13年度からは緩やかながらも下降している。

 この結果から、アトラクションなどが生み出す付加価値の頭打ち感が見て取れる。年平均で500億円レベルの投資が以前のような付加価値を生み出せなくなっているのだ。このことが顧客満足度の低下につながっているのかもしれない。

 今回の決算では減収減益という結果となったが、売上高及び営業利益は過去3番目という高い水準にある。入園者数は3期連続で3000万人を超えている。また、16年3月期末の現金及び預金は2091億円と豊富な資金力を誇る。長期借入金(1年内返済予定含む)つまり借金は70億円と極めて少ない。良好な経営状態にあるといっていい。

 これは、訪日外国人の増加が追い風になっている。15年度の入園者数に占める海外からの入園者数の割合は6.0%で、増加傾向にあるという。日本政府観光局によると、15年の訪日外客数が1973万7000人と過去最高を記録している。政府は東京オリンピックの開催が予定されている20年に4000万人、30年に6000万人を目標としている。成田空港に近いTDRにとって訪日外国人の増加は大きな追い風となるだろう。

 外国人客の増加、高水準での入園者数に対して、顧客満足度を下げずに高い付加価値を提供し続けることができるのか。TDRの真価が問われる。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に勤務。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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