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鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

安倍首相、消費増税見送り決定へ…アベノミクスが失敗、黒田日銀の異次元金融緩和も頓挫

文=鷲尾香一/ジャーナリスト
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 これに呼応するように、安倍首相も政治課題から経済政策に舵を切る。安倍首相は11月18日に、15年10月の消費税率10%への引き上げを17年4月に先送りすると表明、国民に信を問うとして衆議院を21日解散すると宣言する。総選挙の結果、圧勝した安倍首相は12月24日、第3次安倍内閣を発足させる。

 総選挙を乗り切り国民の支持を得た安倍首相は、再び政治課題へと舵を切りなおした。

 戦後70周年となる15年、安倍首相の頭には安全保障問題しかなかった。7月16日、集団的自衛権の限定的行使容認を含む平和安全法制関連法案が衆議院で可決される。9月19日未明、平和安全法制関連法が成立した。

 同法成立を勝ち取った安倍首相は、すぐに経済政策へと動く。10月7日、内閣改造を行い新内閣を発足。政権の新たな看板政策「一億総活躍社会」を打ち出した。

 しかし、経済は大きな改善を見せず、むしろ原油価格の暴落、中国景気の後退懸念などが足かせとなり、経済は低迷を続ける。特に日銀の金融政策効果が薄れたことも大きなマイナス要因となった。

金融政策の行き詰まり

 そこで日銀は今年1月29日、マイナス金利政策の採用を決定する。だが、金融政策以外のアベノミクスが大きな成果を挙げることはできず、頼みの金融政策もマイナス金利政策に踏み込むほど行き詰まった。

 経済政策を“餌”に人気を回復し、自らの信念である憲法改正に向かうという手法を駆使してきた安倍首相としては、ここは経済対策を打ち出し支持率回復に動く局面だ。首相が夢にまで見る憲法改正は、手が届くところまで来ている。

 だが頼みの金融政策の効果が薄れている現在、打つ手はひとつ。消費税率引き上げの再延期だろう。すでに下準備は整っている。高名な経済学者を呼び意見を聞く「国際金融経済分析会合」では、その振付どおりに「消費税率の引き上げに反対」する意見を多く得た。さらに自民党内でも議員連盟「アベノミクスを成功させる会」が消費税率引き上げの再延期を求めている。

 金融政策に頼ることができない状況のなかで、もっとも効果のある経済対策は消費税率引き上げを再延期すること。4月に発生した熊本地震の影響もあり、消費税率引き上げの再延期と財政政策を抱き合わせで行う可能性が限りなく高まったことは間違いないだろう。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

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