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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

食品、ありとあらゆる偽装が蔓延…生産~流通が完全「闇」化、騙され続ける消費者

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

 ところが家庭内で食事をつくる食の内部化から、加工食品や外食産業などへの依存度が高まる食の外部化が進み、フードシステムが長大化・複雑化・高度化・グローバル化し、生産・加工・流通過程がほぼ完全にブラックボックスと化した今や、情報の非対称性の度合いは非常に大きくなっている。

 情報の非対称性の度合いが大きくなればなるほど、汚染、混入、偽装などの食のリスクが高まり、不祥事が起きやすくなるという理屈だ。

多種多様の偽装が日常化か

 特に、食品の偽装について、フードシステム論などでは、どのような位置づけになっているのか。食品の偽装の定義について、実はきちんと整理されていないように見えるため、ここで改めて食品表示法【編注9】をベースにして考えてみる。

 2015年4月、従来の食品表示に関する食品衛生法とJAS法、健康増進法の3つの法律を一本化して、食品表示法が施行された。表示の具体的なルールは、「食品表示基準」に定められている。なお、これは先の3本の法律の下に定められていた58本の表示基準を統合したものだ。

 つまり、情報の非対称性による消費者の情報格差を少しでもカバーするための、実質的にほぼ唯一の、それも“最後の砦”が食品表示であり、それを担保するのが食品表示基準といってよいのではないか。

 そこで偽装を考える場合、この「食品表示基準」のなかの加工食品の義務表示事項が参考になる。

 たとえば(1)食品の名称では、「名称中に主要原材料名を冠する(文字などを上につける)場合は、主要原材料と一致しなければならない」となっており、これに従わない場合は名称偽装が疑われる。

 同様に以下の点において、さまざまな偽装があり得る。

(2)保存の方法(「4℃以下で保存」など)
(3)消費期限又は賞味期限(品質が急速に劣化しやすい食品にあっては消費期限、それ以外の食品では賞味期限)
(4)原材料名(原材料に占める重量の割合の高い順に表示)
(5)添加物(添加物に占める重量の割合の高い順に表示)
(6)内容量又は固形量及び内容総量
(7)栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム)の量及び熱量
(8)食品関連事業者の氏名又は名称及び住所(輸入品にあっては輸入業者の氏名・名称、営業所の所在地)

 いや、これまで産地偽装や消費期限偽装などの限られた偽装にしか馴染みがないが、実は表面化しない多種多様の偽装が日常的にあったのではないか。そこに、今回は“廃棄偽装”が新たに加わった。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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