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宿泊キャンセル60万人…熊本地震で九州観光地が瀕死状態 温泉地は人来ず、新幹線脱線…

文=編集部
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 昨年7月に世界文化遺産に登録された熊本県荒尾市の三池炭鉱万田坑は、ゴールデンウイークまでに20団体、1000人のツアーがキャンセルになった。

 2015年、九州の空港や港から入国した外国人は283万2359人と過去最多で、前年比69.1%増となった。しかし、チャイナ エアラインは台湾・高雄-熊本線を5月末まで運休する。格安航空会社(LCC)が飛ぶはずだった大分-ソウル(仁川)線も搭乗者の減少で5月末までの運休が決まった。LCCの変わり身の早さは際立っている。

 観光庁によると、九州7県の15年4~5月の観光客数は897万3000人だった。JTB九州が調査したところでは、大型連休中の九州への旅行の予約は地震前の時点で前年同期比4%増だったが、地震の影響で前年実績を割り込んだようだ。およそ60万人のキャンセルという報告から計算すると、837万人となる。当初の予約の勢いで4%増だったならば933万人強となっていたはずで、そこから10%程度は下回ったことになる。観光立県を目指している九州にとっては深刻な事態だ。

観光資源にも深い爪あと

 線路の流失などの被害を受けた第3セクターの南阿蘇鉄道は全線の運休が続いており、復旧のメドは立っておらず廃線の可能性が出ている。南阿蘇村と高森町を結ぶ年間収入1億円というローカル線だが、復旧は少なくとも1年以上かかる。30年前の会社設立以来、最大の危機を迎えている。

 秋田の由利高原鉄道、茨城のひたちなか海浜鉄道、千葉のいすみ鉄道、鳥取の若桜鉄道の第3セクター鉄道4社は「復興祈念切符」を発行する。4社の駅入場券と南阿蘇鉄道の乗車券がセットで1セット税込み1000円。このうち700円が支援金に充てられる。

 地震などの災害で地域のローカル線の線路などが寸断されたまま、復旧しない例は多い。南阿蘇鉄道は観光資源としても重要だ。復旧には国の支援が必要である。

 熊本県の豊かな地下水源にも異変が起きている。熊本市中央区にあり、全国有数の湧水地として知られる「水前寺成趣園」(通称・水前寺公園)では庭園の池が干上がった。専門家は地震の影響で地下水の流れが変わったと指摘している。

 九州新幹線では全線で運転を再開したが、余震を警戒、速度を抑制している。心配なのは脱線防止ガードの整備が遅れていることだ。17年度末に整備計画は完了するが、全長513キロの1割にとどまる。1キロ当たり1億円という設置コストがネックになっている。

 乗客はいなかったが、地震で九州新幹線は脱線した。

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23:30更新
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