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鈴木貴博「経済を読む目玉」

自分のカードで他人が10万円の買い物…偽造カード大量蔓延、完全にいたちごっこ状態

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

対応が遅れる日米

 とはいえ、大きな規模で犯罪が起きると、カード会社の損のつけは、加盟店の利用料や私たちカードホルダーの年会費やポイント還元の改悪にまわってくる。その意味で、誰も損しないなどというのは幻想だ。

 先にこの犯罪がまん延したヨーロッパではいちはやくICカード型のクレジットカードへの移行が行われ、現在ではICチップのついていないカードは受け付けないという加盟店が増えている。

 それと比較してアメリカと日本は若干遅れている。日本の場合、ICカードが義務化されるのは2020年の見込みだ。アメリカでも加盟店側のリーダーが対応していないなどの理由から、まだICチップ型のカードの普及率は高くはない。

 クレジットカード会社は普及を促進するために、ICチップの内蔵されたカードを店舗がICカード用ではない通常のリーダーで処理した場合の手数料を高く設定している。ICカード対応のリーダーを導入すれば3%で済む手数料が、導入しないと6%になるといったかたちのペナルティを用いることで、ICカード型クレジットカードリーダーの普及率を高め、カード偽造団からの被害をなくしていきたいという考えだ。

 さて、2015年、新たな犯罪が報告された。クレジットカードのICカードの上に、もうひとつ別のICカードをはんだづけすることで、どのような暗証番号を入力してもその暗証番号をリーダーが正しいと認識してしまうという手口らしい。これが偽造できないはずのICカード型クレジットカードをコピーした最初の犯罪ということだ。

 つまり、いたちごっこである。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『日本経済復活の書』『日本経済予言の書』(PHP研究所)、『戦略思考トレーニング』シリーズ(日本経済新聞出版社)、『仕事消滅』(講談社)などがある。
百年コンサルティング 代表 鈴木貴博公式ページ

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