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三菱自、異常な社内風土…幹部がルールも知らず高圧的言動と圧力、人事異動少なく組織縦割り

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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 燃費試験のルールを知っているのは実務の人間だけと言う。かりに幹部がルールも知らずに圧力をかけ続けていたとすれば、部下が不正を働いても見抜くことはできないし、発生するリスクは計り知れない。不正を生み出し続けることを許容するようなとんでもない組織構造である。

 新聞報道によると三菱自が国交省に提出した調査結果にはプロダクト・エグゼクティブ(PX)について「高圧的言動による物言えぬ風土を醸成した」と記され、性能実験部については「人事が硬直化し、閉鎖性が強く不透明な組織だった」と書いてあるという。5月12日の記者会見で同社の益子修会長も「閉鎖的な社会のなかで仕事が行われ、『今までやってきたことをやれば間違いない』と信じ込んだ面もあるのでは。そういうところに踏み込まないと、再発は防止できない」と発言している。

 実際に同社の開発部門は人事異動が少なく、10年間も同じ部署、担当のままという人も少なくないという社員の声もある。最大の原因が人事の硬直化による閉鎖的組織、ルールも知らない幹部が現場任せにして責任の所在が不明確な組織が不正を生んだとすれば、いうまでもなくそうした組織構造を放置してきた経営陣の責任は免れないだろう。

別会社になるぐらいの改革が必要

 
 これは、一部門の人事や組織を改めれば解決できるような簡単な問題ではない。なぜなら過去にも同じ問題点が指摘されながらも解決できていないからだ。

 同社は04年のリコール隠しを受けて社内に「事業再生委員会」を設置し、国内外の社員など350人超にインタビューした「事業再生委員会の活動状況について」(04年6月29日)という報告書を出している。そのなかに「従業員インタビューの要約(生の声)」が掲載されている。

 人事に関する問題点として「責任の所在があいまいで、信賞必罰を徹底できない。人事異動が少なく、適材適所が実現できない」、管理に関しては「計画が不明確、計画責任の所在が不明確」と指摘されている。また企業風土に関しては「『たこつぼ文化』のため、上を見て、発言を控える傾向あり」「危機感が希薄、社員が自立していない」と指摘している。こうした状況は今の組織そのものではないか。

 さらにこういう指摘もある。組織が「縦割りで、部門が断絶。今後導入するPXについてもその位置付けの見直しや顧客意見が反映できる仕組みが不可欠」。つまり、新たに導入したPXは今回の調査で「高圧的言動による物言えぬ風土を醸成した」と指摘されるほど、逆に弊害を生んでいたことになる。

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