
スマートフォン(スマホ)の「実質0円」が、4月1日から総務省のガイドラインによって規制された。これは、安倍晋三首相の鶴の一声を受けて発足した、タスクフォースが決定した施策。0円を大幅に下回る価格設定を補うために、通信料が高止まりしているというのが、総務省の指摘だ。
ただ、ガイドラインには明確な基準が示されておらず、各社とも暗中模索のなかで価格設定を行っているというのが実情だ。その結果、ガイドラインが効力を発揮した直後の4月5日には、総務省がNTTドコモとソフトバンクに行政指導を行っている。
ソフトバンクは、実質0円を下回るキャンペーンが問題視された。これを受け、同社はキャンペーンを撤回。ドコモは機種変更のときだけ価格設定が安くなっている点を指摘された。もともとはMNP(携帯電話のキャリアをまたぐ番号継続サービス)に伴う過度なキャッシュバックを規制するためのガイドラインだったが、最大手であるドコモが機種変更を安くすることで、他社も競争上、価格を下げざるを得なくなる。他社がドコモからユーザーを獲得しようとすると、MNPでドコモ価格以下に抑えなければならない。機種変更価格に注文がついたのは、そのためだ。
先行して実質0円に歯止めがかかった格好だが、そこで浮いた費用を原資に、通信料金を値下げするというのがガイドラインの本来の目的だ。そのため、大手3社がどのような出方で値下げをするのかに注目が集まっていた。

ドコモが先陣
先陣を切ったのはドコモだった。同社は4月14日に緊急会見を開催。新料金プランに適用される長期利用割引の「ずっとドコモ割」を拡充することを発表した。併せて、2年契約を緩和。2年間利用したあとは縛りのない「フリーコース」と、2年契約を継続する「ずっとドコモ割コース」の2つから、料金プランを選択できるようになる。
少々複雑なため、その中身を解説していこう。フリーコースを選ぶと、料金据え置きで、2年契約後の縛りがなくなる。auやソフトバンクも同様の料金プランを新設するが、この2社は、基本使用料が300円高くなっていた。対するドコモは、基本使用料には手を入れない方針を打ち出している。