「かつては正社員で働くのが当たり前で、会社と社員の関係も、生活すべてを仕事に捧げる代わりに会社が家族の生活を保障する、という『取引関係』にありました。しかし、それはもうはるか昔の話です。

 家族手当も住宅手当もどんどん削られ、もはや会社が社員の生活を保障してくれるような時代ではない。だからこそ、若手は会社ともっとビジネスライクな関係で働けばいいし、上司世代はそれを理解してあげる必要があると思います」(同)

 ゆとり世代より上の世代、特に40~50代は、若手の頃から「生活すべてを仕事に捧げ、がむしゃらに働くのが当たり前」という考えを刷り込まれているため、ゆとり世代を軽んじてしまう傾向が強い。しかし、今やそういう考え自体が時代にそぐわなくなっているのである。

なぜ結婚できない男が多いのか?

 結婚に関しても、今は上司世代の頃とは経済状況がまったく違う。また、そもそも日本は男性の数が女性よりも多く、必然的に一定数の男性が余ってしまうのだという。

「それも、100人や200人程度の話ではありません。20代後半の場合、男性の数から女性の数を引くと、その差はおよそ12万人に上ります。いくら男性側が『結婚したい』と強く思っても、どうあがいても12万人の男性が余ってしまうのです」(同)

 それだけの数の男性が結婚からあぶれてしまうにもかかわらず、「若者の結婚離れ」などといわれ、恋人がいないだけで、20代男性は親や周囲に心配されてしまうのである。こうしたことからも、ゆとり世代である20代の若者が大変な時代を生きていることがわかるだろう。

 世界全体を見ても、グローバル化とともに、今や「多様性」が重要な概念になっている。人材マネジメントの分野でも、多様な人材や働き方を指す「ダイバーシティ」という言葉が浸透しつつある。あらゆる面で多様性が求められる時代にあって、上司世代は20代を「ゆとり世代」などとバカにしている場合ではないのだ。

「一番タチが悪いのは、一般職の女性に対して差別的な視点を持っている上司です。そういう人は、すぐに考えを改めるべきでしょう。産学連携の授業を担当しているので、企業の方たちに話を聞く機会が多いのですが、大学の成績や入社試験の結果だけで採用を決めると、新入社員のほとんどが女性になってしまうそうです。

 同年代の男女を比較すると、それだけ女性のほうが優秀なわけです。おそらく、企業は今後、優秀な女性がのびのびと働くことのできる職場環境を整えられるかどうかが、ビジネスを勝ち抜く上でのポイントになると思います」(同)

 変わりゆく社会の中で、いまだにゆとり世代の部下をバカにしている40~50代は、時代に取り残されて「ダメ上司」のレッテルを貼られかねない。そんなことにならないためにも、「管理職やこれから人の上に立つ世代の人たちにも、本書を読んでほしい」と田中氏。思い当たるフシがある上司世代は、本書を手に取って時代の変容を自覚すべきだろう。
(文=青柳直弥/清談社)

『男が働かない、いいじゃないか!』 「朝起きて、“会社行きたくないなあ”と考えるのは、正常な思考回路です!」 「無職は恥ずかしくありません」 「男なら夢を追いかける!? 止めときなさい」 雑誌・テレビ・ラジオ・ネットニュースのコメンテーターに出演多数の人気大学教員による、若手ビジネスマンへの心安まるアドバイスの数々! amazon_associate_logo.jpg

関連記事