
初回を観て「これはすごい」と思った。ただ、ふと我に返ると、どこか釈然としない気持ちに襲われている。それが『トットてれび』(NHK)を観た印象であり、第4話を見た今でも変わっていない。
黒柳徹子役の満島ひかりはイキイキとした姿を見せているし、『あまちゃん』(同)、『64(ロクヨン)』(同)などを手がけた井上剛の演出も、リアルとけれんのほどよいところを突いている。中園ミホの脚本も、大友良英の音楽も、いわゆる手練れの仕事。60年前のテレビを再現した番組や歌に、懐かしさを覚える人もいるだろう。
とりわけ目を引くのは、テレビ撮影やラジオ収録を再現した美術。NHK放送博物館に収蔵されているテレビカメラのレプリカを何台もつくったほか、セットや照明、俳優やスタッフの服装など、映るかどうかわからないような隅々まで再現しているという。加えて、当時のスタッフに現場の雰囲気や道具の使い方を監修・指導してもらうという徹底ぶりだ。
60年前の番組映像と新たに撮影した映像をオーバーラップさせたり、遊び心のあるCGを入れたり、とにかく「凝っている」「こだわっている」のは誰が見てもわかる。ただ、凝るほどに、こだわるほどに、“連ドラ”というよりも“美術作品”のイメージが色濃くなり、気になるのは人間の物語よりも当時の再現度。そして、こちらの感情は“ある方向”に向けて冷めていく……。
民放では考えられない、NHKの金銭感覚
そもそも、これほどこだわったものが制作できるのは、「予算と時間たっぷり」のNHKにしかできない力技。『トットてれび』は1本30分弱、全7話のドラマにすぎず、民放なら間違いなく半分以下の予算と時間しか与えられない。いわば、民放では考えられない、「赤字間違いなし」のコスパが悪いドラマなのだ。
民放より予算と時間にゆとりがあるのは、我々が払う受信料がなせる業。実際、NHKの「平成28年度 収支予算と事業計画」を見ると、事業収入7016億円のうち、そのほとんどにあたる6758億円(約96%)を受信料が占めている。
さらに、事業支出6936億円のうち、「国内放送番組の制作と送出」が5279億円(約76%)。なかでも『トットてれび』が放送されている総合チャンネルは、2856億円(約41%)ものお金がかけられているのだ。
NHKは全国放送などの点から、民放との比較は難しいところもあるが、これまで何度となく「倍以上のお金や人がかけられている」という、いわば“疑惑”が浮上していたのも事実。
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