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上昌広「絶望の医療 希望の医療」

北海道大学の謎と真実…本州の日本海側からの学生が多い理由

文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長
北海道大学の謎と真実…本州の日本海側からの学生が多い理由の画像1研究室で学ぶ樋口朝霞さんと村田雄基君

 2月末から私の研究室で「修業」している大学生がいる。旭川医科大学6年生の村田雄基君だ。札幌生まれの27才である。

 村田君が研究室にいるのは、昨年の卒業試験に失敗し、留年したからだ。今年の前期はやることがなくなった。村田君は、以前から研究室に出入りしていた。北海道大学出身の看護師で、当研究所のメンバーでもある樋口朝霞さんの紹介だ。

北海道大学の謎と真実…本州の日本海側からの学生が多い理由の画像2

 今年2月、私は失意の村田君から相談を受け、「とりあえず東京に出ておいで。研究室でいろんな人と交流すればいいよ」と助言した。そして、彼がやってきた。村田君は、これまでに挫折の経験があるようだ。柔な男ではない。落ち込んで、何も手につかない状況ではない。ただ、せっかく休学したのに旭川の町で肩身の狭い思いをするのはもったいない。

 私は、学生時代にさまざまな土地を訪れ、いろんな人と会い、そして多くの本を読むことで若者の感性が磨かれると考えている。休学している期間をうまく使えば、飛躍のきっかけになるかもしれない。村田君が研究室にきて数週間が経った。その間、研究室の引っ越しもあった。

 一段落した3月末、私は村田君に「日本でもっとも全国から学生が入学している大学はどこだと思うか」と質問した。研究室にやってくる若者には、この質問をすることにしている。大抵が「東京大学でしょう」と答える。答えは「否」だ。

 正解は北大。東大合格者に占める関東出身者の比率は例年6割。京都大・大阪大の近畿地方出身者もほぼ同レベルだ。

 一方、北大合格者に占める北海道出身者の割合は約4割。過半数が道外出身者ということになる。実は、日本の有名大学の中で北大がもっとも「全国区」の大学である。北海道出身者も含め、このことはあまり知られていない。

日本海側からの入学者が多い

 ちょうど3月は大学受験の合格発表シーズンだ。週刊誌は各大学合格者の出身高校別の人数を掲載する。この特集号を使えば、有名大学の合格者の分布を知ることができる。

 私は、村田君に「北大の入学者の出身地を調べ、考察すること」という課題を出した。自分の手を動かし、実際に作業することで、さまざまなことを考えるからだ。私の問いに対する、彼のレポートが以下の図だ。

北海道大学の謎と真実…本州の日本海側からの学生が多い理由の画像3北海道大学合格者の出身地(数字は18才人口1万人当たりの合格者数)

上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
医療ガバナンス研究所

Twitter:@KamiMasahiro

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