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中国発「リーマンショック並み」世界経済危機の兆候…中国、異常な債務膨張と成長失速

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授
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 5月26~27日、伊勢志摩で開催された主要7カ国首脳会議(伊勢志摩サミット)は、世界経済の危機回避を目指すことなどを確認して閉幕した。今回の会議の結果、表向きにはサミットの首脳宣言には各国の協調を重視する姿勢が盛り込まれた。それはある意味では、これまでのサミットの声明を踏襲した内容といえる。

 しかし、経済の側面にフォーカスすると、安倍首相が呼びかけた「リーマンショック並みの危機」に対して、各国首脳から疑問の声が出たことが気になる。サミット後の会見でIMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事は、「世界経済は危機的状況にはない」と明確に安倍首相の呼びかけを否定した。そうした事情もあり、「安倍首相はサミットを利用して増税延期という国内問題を世界各国に認めてもらおうとした」との印象を残してしまった。その点には批判があるだろう。

 ただ、中国の債務の増加などをみる限り、世界経済は大きなリスクを水面下に抱えていると見られる。2008年のリーマンショック後、中国が進めた4兆元(当時の邦貨換算額で60兆円程度)の景気刺激策は、世界的な資源開発ブーム(資源バブル)を発生させた。そのバブルは14年年央の原油価格の急落をもたらした。足許では、バブル崩壊の影響は小康状態にあるものの、今後のリスクは徐々に高まる可能性は残っている。

 また、米国の利上げは新興国から資本を流出させ、世界的なリスクオフにつながる懸念がある。米国をはじめ、世界各国の経済基盤も不安定になりつつあるだけに、リーマンショック並みの危機が発生しうるか否か、状況を冷静に確認することは重要だ。

「リーマンショック並みの危機」を唱えた安倍首相の真意

 サミットで安倍首相がリーマンショック並みの危機が迫っていると各国首脳に呼びかけた背景には、いくつかの要素が考えられる。

 ひとつは、14年年央以降の資源(コモディティ)価格の下落は、先行きへの懸念を高める要因だ。そうした状況を考えると今後、各国がリスクを認識し、経済の混乱が発生した場合には協調体勢を取って対策を進めることを確認することは重要だ。

 しかし、今回のG7会議では、首相の提言は各国からの反発を招き、首脳宣言の文言策定が難航した。これは、協調の重要性を共有し、主要国が一致団結しているとのメッセージを国際社会に発信する上で、明らかなマイナスだ。

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