安倍政権は戦争への道を開いている

 もうひとつの視点として、世界的に経済成長が行き詰まっていることが挙げられる。10年前からこの傾向は続き、何をどうがんばっても経済成長できない。そこで、社会を大量に破壊して焼け野原状態にしてしまえば、ゼロからの出発になり経済成長を取り戻せるという考え方がある。

 かつて朝日新聞社が発行していた月刊誌「論座」(2007年1月号)において、フリーライターの赤木智弘氏が「『丸山眞男』をひっぱたきたい–31歳フリーター。希望は、戦争」と述べ、センセーションを巻き起こした。

 格差社会の底辺に固定化され、一方的にイジメられる非正規社員・フリーターという立場から赤木氏は「国民全員が苦しみ続ける平等」として戦争をとらえ、「希望は戦争だ」と述べた。

 赤木氏は、東京帝国大学出身の政治学者、丸山眞男が二等兵として召集され、小学校しか出ていない一等兵に執拗にイジメ抜かれたことを引用し、「そんなことができるのは社会が流動化する戦争しかない。一方的にイジメ抜かれる私たちにとっての戦争とは、現状をひっくり返して丸山眞男の横っ面をひっぱたける立場に立てるかもしれないという、まさに希望の光なのだ」と書いた。

 しかし、書き手の赤木氏にとって「希望は戦争」という表現はレトリック(修辞技法)にすぎない。「希望は戦争」というのは、「これしかない」という状況になっていることの表れなのだ。

 経済において実効力のある政策は、ある種の戦争経済化だ。中東、ヨーロッパ情勢もきな臭くなっており、世界が大きな戦争に向かっているようにもみえる。安倍政権は、それに乗り遅れるなとばかりに武器輸出三原則を緩和するだけでなく、防衛産業を基幹産業にする方向性まで出している。経済政策としては、ある意味理にかなったことをやっている。

 したがって、戦争の可能性を現実的に考えなければならない状況になっている。それに対して私たちはどう立ち向かっていくのか。

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