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大西睦子「ボストン健康通信」

生オレンジジュース、角砂糖7個分の砂糖含有…果物そのまま摂食、多大な病気予防効果

文=大西睦子/内科医師、医学博士
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果物を食べると太る?

 果物はこんなにたくさんのメリットがありますが、なぜ日本人の消費量は低いのでしょうか? 理由のひとつは、糖分を気にして食べない方もいるということでしょう。

 もちろん、果物や野菜といっても、多かれ少なかれ目標体重の達成・維持に有利なもの、不利なものがありそうなものです。この疑問に対して、米ハーバード公衆衛生大学院の研究者たちが調査し、2015年9月22日付の医学雑誌「PLOS Medicine」で報告しました。

 結果は、果物やデンプン含有量の少ない野菜を多く摂ると健康的な体重の維持につながることが明らかになりました。

 果物の分類ごとの評価では、ベリー類一人前を4年間毎日摂取すると平均−0.5キログラム、柑橘類では平均−0.12キログラム、と体重維持に効果が見られました。果物を個別に見ると、ブルーベリー、プルーン、リンゴやナシ、レーズンあるいはブドウ、そしてグレープフルーツの摂取量が多いほど体重の変化は抑えられました。ただし、トウモロコシ、エンドウ豆、ジャガイモなどの、特にデンプン(糖質)の多い野菜に限って見ると、その摂取量が多いほど体重は増加していました。

 つまり、果物を食べることは肥満の原因ではなく、むしろ健康的な体重の維持に効果があることが示されたのです。それでは、なぜ果物が肥満の原因と懸念されるのでしょうか?

果糖もいろいろ

 果物に含まれる「果糖」が、肥満の原因と懸念されています。ただし果糖には、果物や野菜などに含まれる自然な果糖と、加工食品や清涼飲料水に含まれる果糖の2種類があることを注意しなければなりません。

 果物や野菜に含まれる果糖は、食物繊維などの作用でゆっくり吸収されます。また果物=果糖ではなく、ブドウ糖、二糖類、多糖類、炭水化物なども含まれています。一方、後者はたいてい、「異性化糖」(果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖など)というかたちで摂取することが多いのですが、大量の果糖を一気に摂取する心配があります。

 ちなみに異性化糖は、ブドウ糖と果糖の混合液で、トウモロコシなどのでん粉を酵素処理し生産されます。異性化糖は日本で開発され、1970年代にキューバ革命以降の砂糖不足に悩んでいた米国に導入されました。米国政府は砂糖の代替物に育てるべく、農家に膨大な助成金を支払い、トウモロコシの生産を奨励しました。最近では遺伝子組み換え技術で、より安く大量にトウモロコシを生産できるようになっています。

大西睦子/内科医師、医学博士

大西睦子/内科医師、医学博士

内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に、「カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側」(ダイヤモンド社)、「『カロリーゼロ』はかえって太る!」(講談社+α新書)、「健康でいたければ『それ』は食べるな」(朝日新聞出版)。

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